ワイン、アパレル事業で失敗。欠けていた「在庫感覚」
2015/08/03, NewsPicks編集部
第10話:ネットビジネスに希薄な概念
ワイン、アパレル事業で失敗。欠けていた「在庫感覚」
2015/8/3
在庫の考え方がわからない
役員としてドリコムの上場を経験したことは、自分でも会社を起こせるかもしれないという自信につながりました。そうしてつくったのが、「ZOOEE(ゾーイ)」という会社です。
ところが起業してみたら、自分はプログラミングもできないし、サービスをつくったこともない。何も売るものがなかった。
ドリコムのときは最初にエンジニアの人たちがものをつくってくれていて、それを届ければよかった。私は価値を届けることが得意なんだけれど、でも起業したからには何でも自分でやってみたい。そこでいろいろな事業に手を出すのですが、ことごとく失敗します。
「これからは上海でワインが伸びるらしい」と聞くと、「じゃ、上海でワインビジネスをやろう」と意気込む。まず上海に行ったことがないし、ワインにかかわったことがないし、輸出入をやったことがないのに突き進んでいきました。
もともと演劇をしていただけの自分がここまで来られたのだから、別に経験がなくてもなんとかなるだろうと思っていた。
でも、それは大きな間違いでした。私が経営に参画したことがあるのはインターネットビジネスだけなので、在庫の考え方がわからない。要はワインといったって、おカネがワインになっているだけですから、これをいつかおカネにしないといけない。
在庫をいかに回転させるかはビジネスにおいて非常に重要な点ですが、インターネットビジネスは在庫感覚が希薄です。インターネットビジネスで上場した私には、上海でワイン事業をやるだけの経験がありませんでした。
しかも、上海でワインビジネスをやるためには、事前に約4000万円を中国政府に預けないといけないことが判明します。それは無理ですから、200万〜300万円を無駄にして、事業から撤退しました。
ベトナムでアパレル事業に進出
会社をつくったはいいけれど、相変わらず売るものがありません。仕方なく経営コンサルタントなどをして食いつないでいました。
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コメント
注目のコメント
【第10話】いよいよ会社をつくった吉田さん。今回お話を伺っていて一番不安を感じたところです。「冷静に考えるとリスクが高すぎます。『やる前に気づけよ』という感じです」と語っていますが、本当にそう。でもやっぱり経験は尊いのでしょうか…。
壮絶&極端が常軌を逸してる感じですね。すごい
やはり、「生存バイアス」という言葉を意識せざるを得ない
思いつきで中国でワイン事業をやった人は一杯いるでしょうが、死屍累々のはずで、そのなかでたまたま生き残った例だけ見ると「こういうことをすべきなんだ」と勘違いする人がいそう
知り合いで同じことをしようとする人がいたら全力で止めた方がいいでしょう。いくら止めたところできっとやる人はやるでしょうじ、吉田さんはそういう人な気がします