ハイブリッド車のしくみを基本から解説! 同じハイブリッドでもトヨタと日産は全然違う!
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もっとビジュアル的に分かり易い説明がホンダのサイトにある。
https://global.honda/jp/tech/two_motor_hybrid_system_honda_eHEV/
シリパラ、スプリットシリパラ、シリーズの機構と走行モードの違いが一目で分かります。シリパラはBYD、ホンダ、ルノー、スプリットシリパラはトヨタ、シリーズは日産が代表的。日本のハイブリッド車市場は、各メーカーが独自の技術を展開していることがよくわかります。
トヨタは、三社の中で最も複雑な『シリーズパラレルハイブリッドシステム』を採用しています。他のハイブリッドシステムも研究しましたが、燃費効率が最も優れているため、このシステムの採用を決断しました。
そしてトヨタは1997年に初代プリウスを発売し、2023年には第五世代を投入しました。この間、ハイブリッド技術は飛躍的に進化し、例えばインバータ技術は初代から第四世代でサイズが半分、出力密度が2.5倍になり、駆動電圧も288Vから600Vに向上しました。この技術的進化により、幅広い車種への搭載が可能となり、トヨタはHV分野で圧倒的な競争力を築きました。
EVの販売が伸び悩む中で、海外メーカーがどのシステムを採用するのかが気になります。この記事に関して、以下2点に関して実際の内容とは若干異なる点があるので、以下のように説明します。
1. ホンダの2020年モデル(e:HEV)は、トヨタのシリーズ・パラレル方式に近いシステムへと変更されています。トヨタの説明にあるように、駆動用の電動モーターとは別に発電機を備えています。ホンダの駆動用モーターと発電機は、軸が短く、径が大きい特徴があります。制御に関しては、トヨタのシリーズ・パラレル方式には4つの制御モードがありますが、ホンダでは(3)のモードがありません。これは、電動モーターとエンジンの駆動力を協調して制御する必要がないためです。このシステムでは、(1)(2)は日産のe-Powerと同じであり、高速走行時は燃費の良い(4)のエンジン駆動のみで走行するよう設計されています。つまり、e-Powerを基本としつつ、電力消費の多い高速エンジンクルージング走行時の弱点を補うシステムといえます。また、トヨタとホンダのシステムの違いとして、燃費重視がトヨタ、高速走行での走りを重視するならホンダということが言われます。
- (1)EV走行モード(バッテリ → モータ → 車両駆動)
- (2)HEV充電走行モード(エンジン → 発電機 → バッテリ → モータ → 車両駆動)
- (3)HEV走行モード(エンジン → 車両駆動 + バッテリ → モータ → 車両駆動)
- (4)エンジン走行モード(エンジン → 車両駆動 + エンジン → 発電機 → バッテリ)
2. ホンダのハイブリッドシステムの説明の下に「欧州自動車メーカーが多く採用を開始している48V電源システム車も、この方式にあたります」とありますが、これは正確ではありません。48Vシステムは、内燃エンジンの発電機(ACG)と同様にベルトでエンジンと動力を結合していますが、ホンダのシステムは動力分割機構(ワンウェイクラッチ)を使い、駆動力を結合しています。このシステムはソフトウェアによる高難度な協調制御が必要です。一方で、48Vシステムはアイドルストップ時などで使われるACGと電動モーターを一体化させた簡略なシステムがベースであり、ホンダのシステムとは異なります。このため、48Vシステムは別物として説明する方が適切です。