【混乱必至】フランス「超サプライズ」選挙を、3分で理解する
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「大失敗」ではないと思います。もっと悪いシナリオも十分ありえました。
まず、政党への支持率というのは、短期間ではほとんど変えようがありません。おおむね世論調査どおりの得票率になります。
しかし、得票率と獲得議席はかなり異なる結果にすることができます。
米国大統領選挙などもそうだし、完全小選挙区制の英国下院やフランス国民議会は特にそうです。
今回の第2回投票の得票率と獲得議席数は以下の通りです。
左翼連合(新人民戦線) 26%→180議席
マクロン派(中道「共に!」) 25%→159議席
国民連合 37%→142議席
国民連合が37%の得票というのは、だいたい世論調査どおりです。全国の得票数からいえば1位です。
しかし、これが国民議会577議席のうちの213議席とはならず、142議席しか取れないのが完全小選挙区制です。
マクロン派は、25%の得票なのに、国民議会の4分の1以上の159議席を取っています。マクロン派の世論調査での政党支持率は20%程度でしたから、よほどうまくやったといえます。
マクロン大統領の、第2回投票にあたっての、左翼連合およびその他勢力との選挙区調整の手腕はかなりのものであったことになります。
問題は、これからです。マクロン大統領は、首相を任命しなければなりません(議員内閣制ではない)。
国民議会の過半数の支持を得るなら、288議席が必要です。
マクロン派159議席に+129議席をどこから確保するか。
まず、左翼連合とそのまま組むのも、国民連合と組むのもありえません。
左翼連合というのは、選挙の直前に、急進左翼のメランション派を中心として、社会党、共産党、環境派などを土壇場でまとめたものです。ここも、土壇場でよくまとめましたが、もともと仲がいいわけではありません。
メランション派(74議席)は、富裕層に所得税100%、相続税100%、NATO脱退(できれば解体)、ロシアのクリミア半島併合支持、といった主張なので、マクロン大統領としては論外です。
左翼連合でも、社会党(69議席)は組める相手です。
第4勢力になった共和党(39議席)や無所属や地域政党などを合わせると、96人の議員がいます。
その中の組める議員を説得して社会党とあわせれば、過半数を超えます。
切り崩し・説得工作が必要になります。この2週間ほど、アメリカ大統領選挙のバイデンvsトランプ討論会やイギリスの総選挙、イラン大統領選などサプライズ続きの海外の選挙が話題となっていますが、その流れでフランスの国民議会選挙も、世界を驚かせる結果となりました。
要点を3つに分けて、簡潔にお届けします。策士策に溺れるを体現した感が否めません。国民連合の台頭という目的は果たしましたが、そのために飲んだ劇薬で体力を削がれたようなものです。マクロン大統領のレームダック化は、EU執行部の在り方にも大きな影響を与えそうです。
以下、私の見方です。
想定外だったフランス総選挙、左派連合が躍進したフランスに忍び寄る財政危機の足音
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/81939