損保ジャパン77%で不適切行為 営業担う125の部や支店のうち
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注目のコメント
「不適切行為」の中身が記事には何も書かれていないのでコメントは控えますが、それはそれとして、自動車保険料が今年もまた値上がりしましたね・・・ 事故も起こしてないのに保険料が上がり続けて小生は青息吐息です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bdcc7f7013798327bedbe44e8547ca07768b4037
上記URLの記事に「コロナ禍の時期が過ぎて交通事故が増えた上」とありますが、自動ブレーキ等が普及して事故件数も死亡者数も劇的に減っているのが恐らく実態でしょう。事実、平成30年とくらべると令和4年の交通事故件数は70%、死者数は74%、負傷者数は68%に過ぎません。
https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/whitepaper/2023/zenbun/siryo/siryo-12.html
物価と人件費が上がったといっても直近3年で1割アップにも及びません。そんな中、なぜ自動車保険料が各社揃って年年歳歳上がるのか。摩訶不思議な業界であることは確かです f(^^;どの法律のどの規制に損保ジャパンのどの行為が抵触したと報告されたのかまでニュースは書いてもらわないと読み手は困ってしまいますね。なので私が700字程度で解説します。
損保ジャパンは、独占禁止法第2条第6項が禁止する「不当な取引制限」の規制(カルテルとかの規制ですね)に抵触するような、談合やカルテルを通じた保険料の調整をしていたんじゃないかということで金融庁から報告徴求を受けており、その一貫として第三者委員会が設置され、報告書が作成されました。
本件は、損保ジャパン(と複数の保険会社)と保険需要者が締結する保険契約の保険料調整に、損保ジャパンの従業員が関与したと認められました(損保ジャパンの全191の部店・室のうち、営業部門である125部店中、96部店で不適切行為が確認されています)。
指摘された不適切行為をざっくりまとめてしまうと以下のようになります。
・管財保険については官公庁等の入札案件で入札実施前に情報交換をし落札価格水準を確認、保険料を調整した行為
・共同保険契約の改定の際に保険契約者や代理店に対する見積前に情報交換をし条件を調整した行為(いわゆる価格カルテル)
・保険契約ごとにどの損保会社が引き受け、または幹事会社になるか合意をするような行為(いわゆる市場分割カルテル)
・団体保険料率の割引率改定の際に、割引率の事前情報交換を損保会社間で行っていた行為
不当な取引制限をやってしまった場合には、当該不当な取引制限の排除措置命令を受ける可能性があり(独占禁止法第7条)、また被害者に対する無過失責任での損害賠償義務を負う他(独占禁止法第25条)、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金という罰則も用意されています(独占禁止法第89条第1項第1号)。SOMPOグループのHPを見ると、次のように書かれています。
「グループサステナビリティビジョン」、「CSR重点課題」を踏まえ、CSRの取組みにも力を入れています。当社事業の特性を活かし、「高齢者にやさしい会社」「地域に根ざした会社」「環境にやさしい会社」を目指して、全店でさまざまな活動を展開していきます。
企業倫理の階層は「法的責任」の遵守、次いで「経済的責任」への貢献、最後に「倫理的責任」への取り組みです。さらにその上の努力目標が、社会貢献です。
SOMPOグループは、社会貢献を積極的にアピールしています。一方で、個人情報保護法を順守せず、日常的に違法行為を繰り返していたようです。
つまりは、社会貢献をうたいながら世間によい顔をする一方で、法的責任を遵守できない企業ですから、この際、CSRなどと耳障りの良いことをいうのはやめにしてでも、企業として最低限の法律は守るべきでしょう。さもないと、企業としての存続は許されません。そのようなレベルの話です。