(ブルームバーグ): 米議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)とグラスルイスはトヨタ自動車の定時株主総会で豊田章男会長の取締役選任議案に反対するようそれぞれ推奨した。両社の判断が分かれた昨年と異なり豊田氏の選任反対で大手2社がそろったことで株主がどのような判断を下すかに再び注目が集まりそうだ。

ISSは28日付のリポートで、トヨタグループで相次いだ不正問題に関して、長年トヨタの経営トップを務めてきた豊田会長に最終的な説明責任があると考えられると指摘。同氏の取締役再任に反対する理由として、取締役候補者の顔ぶれやトヨタが発表した不正対策から判断すると、企業文化を変えるとするトヨタの主張とは逆に、実際はそれを維持しようとする傾向が疑われることを挙げた。

グラスルイスも、トヨタの取締役会が十分に独立していない点などを挙げ豊田氏の選任議案について反対を推奨した。

トヨタにコメントを求めたが、現時点では得られていない。同社の株主総会は6月18日に開かれる。

トヨタ創業者の豊田喜一郎氏の孫の豊田氏は昨年4月に佐藤恒治氏にバトンを渡すまで14年近くにわたり社長を務め、米国における大規模リコール問題、東日本大震災などの危機を乗り越え、トヨタの成長をけん引した。一方、ダイハツ工業や豊田自動織機など子会社やグループ企業による不正が相次いで発覚しており、グループ全体のガバナンス(統治)について厳しい目が注がれている。

昨年の定時株主総会での豊田氏の取締役選任議案を巡っては、グラスルイスが反対を推奨したのに対し、ISSは賛成を推奨。総会で同氏は84.57%の賛成率を得て取締役に選任された。

ISSは今回、豊田会長以外の取締役の選任については賛成を推奨した。一方、グラスルイスは早川茂副会長についても「その他のガバナンス問題」を理由に同氏の取締役選任議案に反対を推奨している。

今回の株主総会では気候変動関連の渉外活動などについて情報開示の充実を求める株主提案が出されている。トヨタ取締役会が反対を表明している同提案についてグラスルイスは賛成推奨だが、ISSは「トヨタグループ企業のコンプライアンス上の懸念が指摘される中、パリ協定に沿った透明性のある情報開示を通じて信頼回復につながる提案だ」と反対を推奨している。

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(詳細を追加して更新します)

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