日銀が国債買い入れオペ減額、5年超10年以下-金融正常化
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日銀が保有する長期国債の残高の過去3ヵ月移動平均を試しにとって見ると、今年1月まで増加を続けたものが、2月を境に減り始め、3月、4月と減り幅を拡大しています。3月の金融政策変更直後は殆ど動かなかった長期金利(イールドカーブ)もこのところじわじわ上がり、10年物国債金利は、先だってまで日銀が上限の目処としていた0.1%に近づいています。このまま買い入れ額を減らせばステルス的な量的引き締めに入って行くことになるわけですが、日銀が国債の購入量を減らして国債の値段が下がれば、つまり国債の金利(≒長期金利)が上がれば、諸方に大きな影響が出て来ます。
それで景気が冷えればリフレ策を押す人たちから一斉に批判を浴びるだろうことは火を見るより明らかです。しかし、今の状況を放置すると円安とインフレの火種が消えません。政策金利を上げるほど目立ちはしませんが、日銀が難しい調整を迫られていることだけは確かであるように感じます。今回の残存5〜10年の国債買い入れの減額は、4月30日に改訂した買入方針のレンジ内での調整なので、日銀としては、既定方針を変えた訳ではないし、執行部(金融市場局)の裁量の範囲内という建前になると思います。
ただし、実質的な政策変更の意味を持ちうるような買い入れの変更を、こうしたやり方で繰り返すことは、金融政策の透明性とか説明責任の点で疑問がないわけではありません。他のピッカーの方が指摘されるように、次回のMPMではもう少し具体的な議論を行うことが望ましいと思います。