2024/4/30
【摘発増】シリコンバレーの成功者が「不正取引」に走る理由
NewsPicksでは平日の毎日、世界のトレンドの背景を追う連載シリーズを開始しています。火曜日は「Behind the Scene(ニュースの裏側)」です。
INDEX
- 起訴された「大物」投資家
- シャドー取引でリスク回避
- 「爆発的に」摘発が増える
- 生活を犠牲につかんだ成功
- 「ラテを買うように」投資
- ドットコム・ブームが壊した倫理観
起訴された「大物」投資家
アンディ・ベクトルシャイム(68)は時間を無駄にするのが嫌いだ。
彼は、シリコンバレー史上最も有名な投資のひとつを、1998年のある朝の通勤途中で行った。ほんの数分の出来事だった。
その投資とは1998年、のちにグーグルと呼ばれる検索エンジンの資金源となった最初の10万ドルだ。
それから21年後、ベクトルシャイムは別のチャンスをつかもうとしたのかもしれない。
米証券取引委員会(SEC)が提出した起訴状によれば、彼は2019年にあるテクノロジー企業の売却が迫っているという電話を受け、その機密情報を利用して取引をしたとされる。
数分の取引で得た利益は41万5726ドル。
シリコンバレーの歴史は大きな賭けと突然の破滅に満ちているが、これほど少ない利益のために自分の評判を台無しにした人はめったにいない。
ベクトルシャイムにとって、41万5726ドルは家のソファの後ろに落ちている25セント硬貨に等しいだろう。