(ブルームバーグ): 半導体の受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)が18日発表した4-6月(第2四半期)の売上高見通しは市場予想を上回った。通年の設備投資計画も堅持しており、人工知能(AI)需要が持続的に伸びるとの期待を高めている。

4-6月の売上高見通しは196億-204億米ドル(約3兆200億-3兆1440億円)と、市場予想の約191億米ドルを上回った。

同日発表された1-3月(第1四半期)の純利益は9%増の2255億台湾ドル(約1兆800億円)と、四半期としては1年ぶりの増益。力強いAI需要でTSMCの成長が持ち直した。アナリスト予想平均は2149億台湾ドルだった。

米エヌビディアやアップルを主要顧客に持つTSMCは通年の設備投資計画を280億-320億米ドルで据え置いた。

こうした見通しを受け、AI需要が長続きしなかったり、スマートフォン市場の回復に時間を要したりするかもしれないと懸念していた一部の投資家には一定の安心材料になる可能性がある。

TSMCは先週、2022年以降で最も高い売上高の伸びを公表したばかり。AI開発を加速させる半導体の需要が、スマホ市場の低迷による影響を相殺し始めていることを示唆した。23年の同社売上高の約4分の1を占めたアップルは、iPhone販売の減少に見舞われている。

TSMCの売上高、1-3月は約1年ぶり高い伸び-AIブームが寄与

世界のマクロ経済情勢を踏まえると、先行き不透明感は残るものの、半導体市場全体の回復に伴い、TSMCは今年の売上高が少なくとも20%増加するとの見通しを維持した。

オランダの半導体製造装置大手、ASMLホールディングが17日発表した1-3月の受注はアナリスト予想を下回っていた。

ASML、1-3月受注が予想下回る-最先端装置の需要低迷

TSMC幹部は、これまで25年に始めるとしていた次世代2ナノメートル品の量産を25年第4四半期に開始するとより具体的に言及した。魏哲家最高経営責任者(CEO)はTSMCの自動車向け事業について、今年は減少するとの見通しを示した。具体的な説明を避けたが、これまでは増加するとの見方を示していた。

今月上旬に発生した台湾東部沖地震について、TSMCは半導体生産に使用されている一部のウエハーが破損し、利益面で小幅な影響が及ぶと説明。黄仁昭最高財務責任者(CFO)は決算発表後に開いた会見で、4-6月の粗利益率には50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)程度の下押し要因になると述べた。

TSMCは、地震の被害よりも台湾の電気料金値上げによる影響の方が大きくなる可能性が高いと指摘。黄CFOは電力値上げによる4-6月の粗利益率への影響が70-80bpに達すると分析した。また、間接的な影響として、半導体製造に使われる材料のコスト上昇も見込まれると述べた。

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原題:TSMC Outlook Beats Estimates After AI Demand Fuels Business (1)、TSMC Expects 70-80 Basis-Point Hit From Power-Price Increase(抜粋)

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