【ブックガイド付き】未来を考えるには「小説」が必要だ
- 1970年代と今に流れる「同じ空気」
- 議論を阻害する「名詞化」の罠
- 未来予測は「氷河期世代」を救えなかった
- 「紅白」に見る日本人の時間感覚
- なぜいま「小説」を読むべきなのか
- 「未来を考える」ブックガイド
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「未来がヤバイって本当ですか?」特集では、毎年のように騒がれては忘れられていく「20XX年問題」の正体に切り込んできました。それにしても、なぜ私たちはこんなに「20XX年問題」が好きなのか。また、好きなのにもかかわらず、なぜあまり真剣に対策を考えようとしないのか。
その背後には、日本人特有の「歴史観」があると看破するのは、評論家の與那覇潤氏。
懐かしの「ノストラダムスの大予言」ブームから、毎年末に「紅白歌合戦」がある理由、コロナをめぐる意識の変遷など、日本人の時間感覚を縦横無尽に解剖する、スリリングな論考です。インタビュー中、何度も「そういうことか」と膝を打ちました。みなさんにもぜひお楽しみいただけると嬉しいです。
前半はちょっと微妙ですが、後半の「意味を持つ時間の単位は「今年」しかない」という見方は確かにそうかなと思いました。かつて「アメリカ企業は4半期ごとに評価されるのに、日本企業は長期的だ」と言われたのがいつの間にか「日本企業はいつも先送りだ」になってしまうのは、その傾向が強まっているからではないでしょうか。歴史から学ぶ賢者になりたいものです。
私は與那覇潤さんはかなり好きです。
大衆やすぐ隣のひとが熱くなっているブームや熱狂に平気で水を差してくるようなメタめな語り口(笑)に、それの代替として提案されるアングルも面白いものが多くて、「確かになあ」と思わせて冷静に戻してくれる。現代人の視野を拡げてくれる言論人の一人だと思います。
ポストモダン的な価値観を簡単に投げ出さずに真剣に煮詰めたら與那覇さんみたいな人になるのかもなあと思わせてくれます。安易なイデオロギー化みたいなものは何よりも嫌悪する人だと思う。
與那覇さんこそ誰より「リベラル」だなあと思うのですが、そんな人が最近まで(保守的なイメージのある)「歴史家」だったというのがまた面白いなと思います。
(彼に言わせると、いまの歴史家というのは保守もリベラルもない悪い意味での「無神論・唯物論」的な人間だと言うかもしれません。)
お陰で、今の言論界隈では東浩紀さんなどと同様に保守とリベラルの間に立って議論が出来る貴重なキャラクターのお一人としてご活躍されている印象です。
與那覇さんが鬱病経験者というのも、話の内容に厚みを感じさせるだけでなく、親近感的なものまで抱かせる要素の一つになっています。
そんな與那覇さんが小説を薦めているというのにも私は意味を感じます。
小説を読んだり、それについて語ったりすることだけでなく、小説を自分で書こうとすることが必要な気がしてきました。
自らの言葉を尽くして世界を語ることが、「名詞化」して単純化され消費することだけに徹しがちな少子化的な世界とバランスを取っていくために必要なのかもしれません。
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