(ブルームバーグ): 電気自動車(EV)大手の米テスラは1-3月(第1四半期)の納車台数を38万6810台と発表した。アナリスト予想平均の44万9080台を大きく下回った。四半期の納車台数が前年同期比で減少したのは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期以来。株価は一時7%近く下げた。

四半期納車台数の発表が近づくにつれ、ウォール街では予想を急いで下方修正する動きがあった。前年同期の42万2875台を下回るとした一部アナリストの予想は的中した。

テスラ、四半期の納車台数に注目-EV需要減退で暗い節目にも (2)

テスラは納入減少の要因として改良型「モデル3」生産が早期段階にあることに加え、「紅海の紛争による航路迂回」と、ベルリン工場での放火を挙げた。

それよりも大きな懸念は消費者の需要だ。高金利が購買意欲を減退させる中、テスラは「2つの成長期の間にある」と投資家に警告していた。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は2月、「真冬に車を買いたい人はあまりいない」と自身のソーシャルメディア「X(旧ツイッター)」に投稿し、1000ドル(約15万円)のインセンティブ(販売奨励金)を設けた。テスラは広告の面でも実験を始め、自社のラインナップに関する説明に多くの労力を費やしている。

テスラは国・地域別の納入台数を発表しないが、長らく米中を主要市場としてきた。昨年10-12月(第4四半期)の納入台数では、スポーツタイプ多目的車(SUV)の「モデルY」と「モデル3」のセダンで96%を占めていた。

今回の発表では昨年末に市場に投入したステンレス製ボディーの「サイバートラック」の生産台数と納車台数は明らかにされていない。

テスラは課題を抱えながらも、世界で最も売れているEVメーカーとしてのタイトル奪回に成功した。昨年末にテスラを追い抜いた中国の比亜迪(BYD)は、1-3月に世界で30万114台を販売したと1日に発表。ハイブリッドなどを加えると62万6263だった。

原題:Tesla Sales Fall Short of Estimates in First Drop Since 2020 (2)(抜粋)

 

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