(ブルームバーグ): 日産自動車は25日、2026年度までに30の新車を投入して年間の世界販売台数を今年度(24年3月期)から100万台上乗せする計画を示した。収益性も同時に向上させ、26年度までに営業利益率6%を目指すとしている。

発表によると、日産が26年度までに投入する30車種のうち16車種は電動車となる予定。次世代電気自動車(EV)でコストを従来の3割減とするなどEVの競争力を高め、30年度までにガソリンなど内燃機関車とコストを同等にする。また、他社との戦略的な提携を技術や商品ポートフォリオ、ソフトウエアサービスまで拡大し、競争力の維持を図る。

競争が激化している中国では26年度までに日産ブランドの車の73%を刷新するほか、現地で優遇対象となる新エネルギー車8車種(日産ブランドは4車種)を投入する。これらのてこ入れ策により、20万台の増販につなげ、26年度までに現地で100万台の販売を目指す。

      中国事業を担当する山崎庄平専務は25日に神奈川県厚木市の日産の研究開発拠点で開いた会見で、中国では特に伝統的な外資系メーカーが生産能力に関して苦労しているとした上で、新エネルギー車で攻勢に出て現地からの輸出も手掛ける一方で、生産能力の最適化に関してはあらゆるシナリオをパートナーと相談していると述べた。

もう一つの有力市場である米国では同社のガソリンエンジンとモーターを融合した独自の電動パワートレイン「e-POWER」やプラグインハイブリッド車も投入し、米国を含む米州全体で26年度までに23年度比で販売台数33万台増を目指す。

内田誠社長兼最高経営責任者は会見で、電動化の急速な進展で自動車業界の競争は激しさを増しており、「これまでと同じやり方を続けていては成功できない」との認識を示した。持続的な成長のためには抜本的な改革が必要と考え、今回の中長期的な計画の策定に至ったとした。

このほか、電動化への投資を段階的に増やし、26年度までに全体の70%を占めるようにするとした。電動化への投資を行った後も、M&A(企業の合併・買収)実行前フリーキャッシュフローはポジティブを維持し、株主総還元率を30%以上確保することを目指す。

日産は20年5月に公表した中期経営計画で今年度までの4年間で生産能力を20%削減して540万台体制とし、稼働率を高めて年間固定費を削減する計画を打ち出していた。

しかし、その後も新型コロナウイルス禍や半導体不足、中国での競争激化などを背景に販売台数は減少傾向を続けた。今年度の世界販売台数見通しは355万台、業績予想での営業利益率は4.8%にとどまり、トヨタ自動車などのライバルに大きく水をあけられていた。

一方、日産は18年のカルロス・ゴーン元会長の逮捕後、筆頭株主だった仏ルノーとの資本関係の見直しを進め、23年2月にルノーの出資比率を引き下げて相互に15%の株式を持ち合うことで対等関係になることで合意。ルノーの意向に縛られない経営戦略を進めることが可能になった。

そうした中で、今月15日には長年競合関係にあったホンダと自動車の電動化や知能化に向けた協業の検討を開始する覚書を締結したと発表した。車載ソフトウェアプラットフォームやEVの基幹コンポーネント、商品の相互補完など幅広い範囲が競合の対象となり得るとしており、協業を通じて競争力の向上も図る。

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