世界物流の要、二大運河を襲う二つの大問題
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最近のパナマ運河・スエズ運河の情勢は,短期的に混乱を招いて急激な運賃上昇がもたらされたケースもありました.エジプトのように通航料収入が減少して財政収入に影響を受けたケースもあります.しかし,物流について考えたとき,全体影響はあまり大きくなかったと評価できると考えています.これはコロナ禍とちがって,経済におけるモノ需要の拡大や労働力不足が強くならなかったこと,輸送サービスを供給するために十分な船腹が存在することが大きな理由です.代替ルートもあります.
もちろん輸送の遅延により日本では輸入に遅れが生じており,英国でも紅茶の品不足が一時的に報じられるなどの事態がありました.しかし,英国では品不足は一時的と報道されましたし,小売業者も消費者に対して在庫が十分にあることを周知したため、パニック買いは発生しなかったとのことです.また、販売価格に対する海上輸送運賃やコンテナ運賃の比率は大きくないです.この辺を前提に対応をするのが良いと思っています.
注目のコメント
パナマ運河は深刻な干ばつに見舞われていて、通航できる船舶数を減らしていて、スエズ運河は紅海でフーシ派の攻撃が続いているため航行が困難に。海上輸送の要衝である両運河を通航する貨物量は3割以上落ち込んでいるとのことで、結果として配送の遅れや輸送コストの上昇が深刻化しているとのことです。
スエズ運河の問題は地政学、パナマ運河の問題は気候変動に起因するものですが、二大運河の通航が同時に困難になるというのは、まさに現代のグローバルリスクを象徴するような現象だと思います。中米って意外としっかり陸続きなんですね。しげしげと地図を見ていると、ニカラグアに運河作れそうだなと思ったら、過去にそんなプロジェクトもあったそうな。
温暖化による干ばつが原因とのことですが、熱帯雨林の伐採も効いているのかも知れません。水不足を解消するために、川の堰き止めなどさまざまな案が出ているようですが、正直なところ気候や水位をはじめとした自然を人がコントロールできるとは思いません。何か手を打ったら、また別の弊害がきっと出てくると思います。水位が戻らないことを前提に、代替策を講じた方が良いと思います。