2024/3/25

【BCG】社員が「選べる」仕組みづくりで、最適なキャリア形成を

 女性活躍・ダイバーシティ施策の先進企業として、さまざまな施策を行ってきたボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)。自分らしく働くために、どのような仕組みを取り入れているのか。
 女性を含む多様な人材の活躍を支援する同社の組織「Woman@BCG」の日本での取り組みをリードするマネージング・ディレクター&パートナーの平谷悠美さん、コンサルタントの新井萌さんを迎え、意欲を尊重しながら働きやすさを重視する独自の職場づくりについて聞いた。

各人の心地よい働き方に、チーム全体でコミットする

── ライフステージの変化とキャリア形成の両立は依然として難しい課題です。新井さんは入社3年目で出産をされたとのことですが、不安はありませんでしたか?
新井 出産や育児への不安は少なからずありました。実際に出産や育児が始まるまでは、先が見通せないことも心配のタネになっていました。
 ただ、キャリアに関して言えば、それほど不安はなかったように思います。
 私は入社して早い時期から、20代での結婚と出産を踏まえたキャリア形成について上司や同僚に相談してきました。そこで過去のケースを教えていただいたり、出産・育児経験を持ち活躍している社員を紹介してもらえたりしたんです。
 同じ職場での事例を先に知っていたことで、出産後の職場復帰や働き方への不安を解消し、安心して産休・育休に入ることができました。
平谷 BCGには、私を含め、多くの社員がさまざまなライフステージで意欲的に働いています。直近のプロジェクトでは、メンバーの3人中2人が育児をしながら働いていました。
 男性社員でも数カ月単位で育休を取得する方が多くいることもあり、育児をしながら働く社員をはじめ、ライフステージに合わせたさまざまな働き方への理解度はかなり高いと思います。
 個々のプロジェクトでも、働き方を相談できる体制が整っています。
 コンサルタント全員に担当が付き、それぞれの強みや課題、中長期でのキャリアプランを相談できるキャリアアドバイザー制度や、評価とは切り離した立場で先輩社員からのアドバイスが得られるメンター制度があります。
 次にどのようなプロジェクトで経験を積むと良いかといった直近の悩みから、中期的な成長機会や働き方等、幅広い悩みを相談できる相手を複数持つことで、プロフェッショナルとしての成長をサポートしています。
 ライフステージの変化に合わせて、働き方はどうしたいか。キャリアプランに変化は生まれているのか。定期的にすり合わせを行い、最適なプロジェクトに最適な働き方でアサインすることを目指しています。
新井 プロジェクトのキックオフを行う際、メンバーそれぞれが「どんな働き方をしたいか」を共有する場があります。
 もちろん、女性だけに限らず、すべてのメンバーが「夕方は保育園の送迎の時間を確保したい」「朝型なので夜のミーティングは避けたい」など、自分の望む働き方を周囲に伝えることができます。
 それだけではなく、週1回、希望が本当にかなえられているかをチームで振り返ります。
 それぞれの心地よい働き方にチームでコミットすることで、生産性を向上させる。これは「Teaming@BCG」といって、グローバル全体に共通する仕組みです。

ライフスタイルに合わせて多様な働き方を選択する

── BCGの女性社員の比率は、どのように変化しているのでしょうか?
平谷 女性社員の人数は増加傾向にあります。それは、シンプルに働きやすい企業・業界に変わってきているからだと思います。
 私が入社した20年前のコンサルティング業界は、長時間労働が当たり前の世界でした。平日は仕事に没頭して、週末にリフレッシュする。そういった生活パターンに限られていました。
 それが現在は、社員数の拡大や、リモートワークの導入、ツールの進化により、負荷を分散させることができつつあります。
 これは、コロナ禍で一気に働き方が変化したことも要因として挙げられます。
 ライフステージの変化によって、働き方を変化させたければ、それに合う役割でチームやプロジェクトに入ることができ、チーム全体でバランスを取れるので、安心して働ける環境になっていると思います。
 また育児や介護などで一時的に働き方を変えたとしても、その後の状況に合わせてフルタイムで業務に戻ることができ、柔軟にキャリアの設計ができます。
── 平谷さんは、育児をされながらBCG日本オフィスで新卒初の女性マネージング・ディレクター&パートナーとして活躍されています。ワークライフバランスの壁を感じる場面はありましたか。
平谷 大きな壁を感じることは、少なかったかもしれません。
 プロジェクトリーダーを担うシニアコンサルタント時代に結婚したのですが、当時はまだ女性のシニアは非常に珍しい時代で、事例の少なさに起因する不安はありました。
 ただ、当時担当していたヘルスケア領域は産業自体がグローバルなこともあり、クライアント側が先進的で、既に性別や人種を問わない多様な働き方が推進されていました。
 例えば、ある外国人女性の日本支社ヘッドは、夫婦で来日し、休職したパートナーの方が中心となって育児をされていました。
 日本では女性が育児の中心を担うものだと考えられがちですが、そうではなくてもいいのだと思えるようになりました。
 多様なロールモデルを、社内だけではなくて社外も含めて持てたことが、自分自身のキャリアトラックにおいて非常に効果的だったと感じています。実際、現在も我が家では夫が育児の大部分を担当してくれています。
 現在はBCGの社内でも多様なロールモデルが存在しており、自分ならではのワークライフバランスを考える参考になると思います。
── 新井さんは最初の育休から復帰後、どのような働き方を選択したのでしょうか?
新井 復帰して4カ月は時短勤務、その後はフルタイムで働いています。
 BCGの時短勤務は、業務量の割合を選ぶことができるんです。私は自分の体力やプロジェクトを見ているマネージング・ディレクター&パートナーと相談しながら、徐々に業務量を増やしていきました。
 また、時短勤務では、普段以上に限られた時間で、いかに効率的にアウトプットするかが重要です。
 私の場合は、上司のサポートのもと、仕事を進める途中でも短い期間でフィードバックやアドバイスをもらい、どんどん反映していくようにしました。
 また、時短勤務の際にはプロジェクトのメンバーをもう1人補強する制度があります。一定以上の社内リソースが確保された前提で働けるので、安心して自分のパフォーマンスに集中できました。

時代やニーズに合わせて、仕組みを変化させる

──「Woman@BCG」の取り組みについて詳しく教えてください。これは具体的にどのような目的に基づいているのでしょうか。
平谷 「Woman@BCG」の取り組みとして、女性を含む社員同士の連携の促進や働き方の改善を目的に、HRやリクルーティング部門と連携して、業務とは違う場での情報交換やアドバイス提供の機会を設けて、社内の女性をはじめとする多様な人材が活躍しやすい「場づくり」について考えています。
 対社外では、リクルーティングチームと連携しながら、BCGでの女性の働き方を広く伝えています。
 社内向けでは、個人のキャリアやライフステージに合わせて適切なキャリア選択ができるよう多様な働き方を支援するさまざまな制度の詳細や活用方法、幅広い経験を共有する機会を定期的に設けるなど、包括的な支援を行っています。
 全社員向けの情報発信や共有、トレーニング・イベント企画の活動も行っています。女性だけでなくあらゆる多様性を認め合うことを念頭に活動しているため、他の社内プロジェクトと協働することも多くあります。
 特に力を入れているのが、情報の「シェアリング」です。
 月1回のニュースレターやランチ会で、先輩社員の働き方や一人ひとりに合ったキャリアパスの事例を紹介しています。
そのほか、月2回「シェアリングセッション」と銘打ち、昼休みの時間に、成功体験や、失敗を通した学び、成長したエピソードをオンラインで発信しています。
 キャリアステージとライフステージを掛け合わせて、そこから浮かび上がるさまざまな悩みを、他の社員はどう乗り越えたのか。ケーススタディをシェアする機会を作っています。
 ただ、当事者たちだけで話していても、バイアスを取り除かなければ全社での改革はできませんから、「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見) 」に関するBCG独自のトレーニングを、グローバルで全社員必修で行っています。
 トレーニングの内容はかなり実践的で、できるだけ現場で効果を発揮するようにと、ケーススタディ形式で実施しています。
新井 また、社内向けに2023年から始めた「ファミリーデー」という施策もあります。
 その名の通り、社員の家族にオフィスに来てもらい、どんな場所でどんな仕事をしているのかを見てもらって、交流を深めるというものです。
 男性・女性社員ともに、家族に自分の職場について理解してもらいたいという高いニーズがあり、それに応える形でスタートしました。
 家族にも職場の理解を深めてもらうことで、より働きやすい環境づくりにつながっています。
平谷 Woman@BCGをはじめ、社員一人一人に合った働き方を実現するための取り組みは、その時々の社会の状況や会社のステージによって変わるものであり、仕組みも常にアップデートし続けることが重要です。
 直近では女性のマネジメント層が増えてきていることもあり、マネジメント層ならではのキャリアやワークライフバランスへの悩みが出てきています。
 2024年は、マネジメント層向けの座談会やシェアリングなど、新たな悩みにも応える仕組みづくりをしていき、女性を含む多様な人材がより一層活躍できる組織を目指していきます。
BCG ケース面接体験会
●お申し込み:https://www.113.vovici.net/se/13B2588B322059DC
●日時:4月25日(木)19:00-20:30 (オンライン・ウェビナー形式)
●対象:社会人歴2年目以上の方
●当日の内容(予定):
-BCGのケース面接について
-具体的なケース演習
-Q&Aセッション