(ブルームバーグ): 人気ゲーム「パルワールド」について、開発したポケットペア(東京都品川区)の溝部拓郎社長は、より多くのユーザーに遊んでもらうため、他のプラットフォームでも展開する可能性を示した。

13日のブルームバーグのインタビューで、溝部氏はパルワールドについて「究極的には多くのプレーヤーに遊んでもらいたい」と述べ、「他のプラットフォームとも話したこと自体はある」と明かした。

パルワールドは現在、パソコン(PC)ゲーム配信プラットフォームの「Steam(スチーム)」と米マイクロソフトの家庭用ゲーム機「Xbox」上で遊ぶことができる。今後、より身近なゲーム機やデジタル機器で展開されれば、さらに多くのユーザーの獲得につながりそうだ。

パルワールドは「パル」と呼ばれるキャラクターの見た目から「銃を持ったポケモン」と呼ばれ、1月の発売当初からネット上で注目を浴びた。そこで終わらず、発売からわずか1カ月で総プレーヤー数は2500万人を超えた。少数の開発者によるインディーゲームとして、今年最大のヒット作品と見られている。

溝部氏は、ここまで人気を集めるとは「全く想像もしていなかった」と話す。「再現性のあるモデルというより、純粋に面白いものを作ろうと思って作った結果」だと振り返る。

開発にあたっては、ゲーム配信者が多く取り上げてくれることが重要で、その点を意識したと話す。例えば攻撃して倒れたモンスターは画面から消してしまうことが多いが、あえてそうしなかったという。社内からはこの仕掛けに対して、プレーヤーの誤解を招くなどの反対の声もあったが、「配信の観点からあった方がおもしろい」と押し通した。

「プレーして面白いゲームは世の中にたくさんあるが、それだけだと広がらない」と溝部氏は話す。ゲームの本筋とは関係なくても、SNSで思わずシェアしたくなるような内容を入れ、プレー動画を見るだけで面白く、やってみたいと思えるゲームを目指した。

他社と協業の可能性も

2015年設立のポケットベアは、50人規模の小さなスタジオだ。これまでも「クラフトピア」や「オーバーダンジョン」などインディーゲームを手がけてきたが、パルワールドの大ヒットで状況は一変した。数百億円の利益を稼ぎ出し、共同開発を発表したモバイルゲーム開発会社KLabの株価が急騰するなど、業界への影響力も高まった。

だが溝部氏は、あくまでインディーゲーム企業として、グローバルヒットを狙うと説明。いたずらに規模を追い求めることはせず、現状維持の姿勢だ。

マイクロソフトの「マインクラフト」のように、小規模なチームだからこそ創造の自由や柔軟性が担保されると考えるからで、社員を急激に増やしたり、他社を買収したりといった大規模な投資の計画もないという。ポケットペアの株式上場も視野にはない。

ただ、多くのプレーヤーにゲームを楽しんでもらうというゴールの実現に他社と組む方が良いのであれば、「もちろん考えていく」とした。

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--取材協力:古川有希.

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