Maki Shiraki

[東京 6日 ロイター] - トヨタ自動車は6日、2024年春季労使交渉(春闘)の第3回労使協議会で賃上げ要求に回答しなかった。労組側は今年、物価上昇や好業績を背景に比較可能な1999年以降で最高水準の賃上げを求めている。最終回の13日に回答する。

日本の代表企業で、裾野の広い自動車産業最大手のトヨタの春闘は例年、相場のけん引役として注目されており、昨年は初回で満額回答した。今年の春闘は例年以上に重要な意味を持つことから、トヨタの交渉状況、賃上げ要求に対する回答に関心が集まっている。

岸田文雄首相は物価上昇を上回る賃上げを必ず実現するとし、今年の春闘で昨年を上回る賃上げを経済界に強く要請した。日銀も賃金と物価の好循環を確認し、2%の物価目標達成を見通せるかどうかの重要な判断材料として春闘の状況を注視。賃上げの動向を見極めた上でマイナス金利の解除を判断するとみられている。

トヨタの東崇徳総務・人事本部長は、これまでの労使協議について、持続的成長につなげていくための足元固めの議論を最優先し、仕入先や販売店などに支えられて達成できる好業績であることを再認識したとし、「自分たちの立ち位置と組合要求とを理解し合い、4回目の回答につなげたい」と語った。

3回目では、人的資源や人材育成を支えるため、職場ニーズに基づく65歳以降の雇用推進、60歳以上の再雇用制度を見直す方針も示した。60歳以降も前と同じ処遇で働き続けられる人と半分になる人がおり、半分になる人は契約更新せず退職してしまうケースもあるという。

東氏は、少子化もあり「人材が採りにくくなっている環境を強烈に感じている」などと述べ、60歳以上も「役割や貢献に応じて(賃金など処遇を)いろいろ設定できるようなやり方を10月(実施)に向けて考えたい」と述べた。

労組の賃上げ要求額は職種・職位ごとに示しており、定期昇給分とベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分を含む総額で1人当たり月7940円―2万8440円。年間一時金(賞与)も7.6カ月分と昨年の6.7カ月分を上回る過去最高を求めている。

昨年は急激な物価上昇などに対応するため、トヨタは2年連続で初回交渉で満額回答方針を表明、満額回答は3年連続だった。例年であれば、複数回の労使協議を行い、3月中旬の集中回答日に回答していた。