(ブルームバーグ): 11月の米大統領選の民主・共和両党の候補選びで、予備選・党員集会が全米各州で集中的に行われる「スーパーチューズデー」の5日、バイデン大統領とトランプ前大統領がこれまでのところほぼ全ての州で勝利を確実にするかリードしている。

トランプ氏は指名獲得に近づき、本選挙でバイデン大統領と再度対戦する方向にある。だが、両氏再対決の構図に興奮する米国民は数少なく、ウォール街の大口献金者も避けたいと願ってきたものだ。

トランプ氏の唯一の対抗相手であるヘイリー元国連大使は、資産家のスタン・ドラッケンミラー氏やチャールズ・コーク氏らの支持にもかかわらず、リベラル色の濃いバーモント州でかろうじて勝利を確実にしただけだ。

スーパーチューズデーでは指名獲得に必要な代議員数の3分の1余りが割り振られる。早い段階でバージニア、ノースカロライナ、テネシーの各州での勝利確実が伝えられたバイデン、トランプ両氏はそれぞれの党に対する掌握力を証明した。

しかし、両氏の圧倒的なパフォーマンスとは裏腹に、有権者の間に深刻な懸念や疑念があること否めない。

民主党の場合、現在81歳のバイデン氏が米国を今後も率いていくことができるかという心配を有権者が度外視してくれるかどうかは危険な賭と言える。ロシアが侵攻したウクライナでの戦争やイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘といった国外の問題や、国内では新型コロナウイルス禍後の力強い景気回復でも、経済を巡る根強い不安といった課題もある。

一方で共和党では、トランプ氏が抱える幾つもの係争や扇動的な発言、同氏の批判者が権威主義的プランと呼ぶ新たな政権構想が、ホワイトハウス返り咲きの鍵を握る中道派の有権者を遠ざける恐れがある。

バイデン氏は高齢過ぎる、トランプ氏は危険-米激戦州の世論調査

ヘイリー氏

ヘイリー氏はこれまでに首都ワシントンの予備選で勝利し、同氏の陣営はスーパーチューズデー以降も見据えた選挙キャンペーンに言及してきた。だが、獲得代議員数を踏まえるとヘイリー氏に勝算がないことは明白だ。

先に共和党予備選・党員集会が行われた州での出口調査によれば、トランプ氏は年齢や性別、人種を問わず、労働者階級および大卒以上の学歴を含め同党有権者の間で高い人気を誇っている。

ヘイリー氏はトランプ氏に見切りを付けたいと考える中道派の共和党支持者にアピールすることを目指してきたが、同氏が掌握しているような支持層をこれまでのところ確保できずにいる。

トランプ氏は私邸があるフロリダ州パームビーチの会員制高級リゾート「マールアラーゴ」で支持者を前に演説し、「スーパーチューズデーと呼ばれるのには一つの理由がある」と述べた上で、「専門家らは、これほど決定的なものはない話している」と語った。

トランプ氏は2020年大統領選の結果を覆そうとしたとして起訴された事件など、刑事事件4件を抱えるが、共和党支持者はおおむね同氏のために集結し、ホワイトハウス返り咲きを狙う同氏にとって、一連の訴追などが大いに有利に作用する形となっている。

他方、バイデン大統領は声明で、「今夜の結果は、われわれが前進し続けるか、それともドナルド・トランプ氏の在任中のような混乱と分断、暗黒に逆戻りさせるのを許すのか、という明確な選択肢を米国民に示すものだ」と論じた。

原題:Trump, Biden Ride Super Tuesday Wins to 2024 Rematch Few Want、Trump Closer to Republican Nomination With Primary Wins (3)(抜粋)

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