(ブルームバーグ): 米証券取引委員会(SEC)は、対話型人工知能(AI)「ChatGPT(チャットGPT)」を手掛けるオープンAIが昨年、経営陣を巡り激しい議論を交わしていたことに絡み、投資家を欺く行為があったかどうか調査していると、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が事情に詳しい関係者を引用して報じた。

WSJによると、SECはサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が2023年11月に一度解任されたことに関連し、同CEOによる内部のやりとりを調べている。昨年12月にはオープンAIに召喚状を送り、同社幹部に内部文書の保存を求めたという。

アルトマン氏はCEO復帰の条件として内部調査などに同意。突然の解任に加え、アルトマン氏が意思疎通において一貫して率直でなかったとする取締役会の声明により、決定的な証拠が出てくるのではないかとの期待が生まれた。そうしたものは出てこなかったが、中東での資金調達を含む外部半導体ベンチャーの設立に向けたアルトマン氏の資金集めを巡るオープンAI内の緊張や、同社に批判的な研究論文を共同執筆したヘレン・トナー元取締役との対立が明らかになっている。

取締役会の考えを直接知る関係者によれば、取締役会がアルトマン氏への信頼を失ったのは、単一の甚だしい行動というよりも、アルトマン氏の行動パターンだったという。非公開のビジネス上の問題だとして匿名を条件に話した。

SECの調査は、関係者による不正行為の指摘につながらない可能性もある。オープンAIは一連の出来事に関する自社の調査を実施するため、ウィルマーヘイルから2人の弁護士を起用した。

ブレット・テイラー会長は昨年12月、「調査が進行している間、取締役会はオープンAIのコーポレートガバナンス(企業統治)を強化するとともに、優秀な人材から成る適格かつ多様な取締役会を構築し、汎用人工知能が全人類に利益をもたらすというオープンAIの重要な使命を監督するための措置を続けていく」と表明していた。

原題:US SEC Probes Whether OpenAI Investors Were Misled, WSJ Says (1)(抜粋)

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