WB_トレンド_banner

コンテンツと劇場新設で普及加速

揺れる、水が出る、風が吹く。映画「4DX」はブレイクするか

2015/5/14
Weekly Briefingでは毎日、ビジネス・経済、メディア・コンテンツ、ワークスタイル、デザイン、スポーツ、トレンドなど分野別に、この1週間の注目ニュースをピック。木曜日は、ビジネス業界のトレンドを解説します。

Pick 1:新宿、六本木に到来。4DXを知っていますか?

MediaMation MX4D™を映画コメンテーターのLiLiCoが体験!” TOHOシネマズ(2015年4月27日)

ついに映画ファンにとっては待ちわびた6月がやってくる。6月26日新宿、六本木に「MX4D」が新宿・六本木に新設されるのだ。

そもそも「MX4D」(通称:4DX)とは、何か知っているだろうか? 冠されたキャッチコピーはなんとも大仰だ。

「映画は3Dのその先へ」──。

本当にそんなにすごいのか。値段は1人3000円を超えているし、なかなかヒットしないのではないか。そんな不信感を持って、筆者が劇場に足を運んだのが昨年8月、『トランスフォーマー/ロストエイジ』だだ。

だがあっさり予想を超えた。詳細な説明はこちらに詳しく記されているが、映画を「観る」から「体験する」に変える「新しい娯楽」だ。

簡単に言うと、MX4Dには9種類のエフェクトがある。映像に応じて、席が大きく動き、傾き、顔に向けて水が噴出され、風が吹きつける。スクリーンの両脇からは、霧や泡が吹き出す演出つきだ。筆者はよくわからなかったが「匂い」も出ているらしい。

機能の説明ばかりしても面白さは伝わらないだろう。

たとえば、登場人物が高層ビルの縁に立って、下を見下ろすシーン。3Dの立体感と、4DXの座席の傾きが組み合わさることで、圧倒的なリアリティをもつ。周りを見ると、たいていの人が「ビルから落ちないように」イスにしがみついている。あまりの振動の激しさゆえ、飲食の持ち込み禁止という劇場もある。

グレードアップした「キャプテンEO」が2時間にわたって続く、といえばわかりやすいだろう。

と、ここまで熱く4DXを語ってきたが、実は、昨年まで都内には平和島、神奈川県には小田原にしかないという状況だった。ようやく今年3月になって、ららぽーと豊洲に1館オープンしたばかり。ここまで設置が遅れたのはイニシャルコストがかさむからだろう。

だがそれも新宿、六本木の「TOHOシネマズ」という“要所”にオープンすることで本格的に人気化するのは間違いない。

Pick 2:2015年は娯楽映画が豊作、最強のラインナップ

今年のハリウッド映画は超大作の大乱戦” NAVERまとめ(2015年4月30日 )

前回の冒頭でも書いたとおり、今年は映画の「当たり年」だ。しかも6月以降、「4DX向き」の作品がズラリ。『ジュラシックワールド』『マッドマックス』『アベンジャーズ』『ターミネーター』『ミッション:インポッシブル』に『スター・ウォーズ』。このうちどの映画が4DXに対応するかはまだわからないが、「最強の娯楽映画クリーンアップ」が控えている。

都内要所のオープンに加え、コンテンツの盛り上がり。その両輪がかみあうことで一気に普及が加速する。本年は「4DX元年」になるだろう。

Pick 3:4DXは劇場の客足に貢献するか。映画利用者の推移

日本映画産業統計、過去データ一覧(1955年~2014年)” 一般社団法人日本映画製作者連盟

4DXのように劇場でしか体験できない仕掛けづくりは興味深い。かつては3Dがその代表だったが、すでにヘッドマウントディスプレイや家庭用テレビに移植されている。

だが、4DXの移植はさすがに無理だろう。映画館でしかできない体験というのは大きな強みになりそうだ

近年、劇場数、利用者数は増えている。シネコンの増加に伴って、映画館の利用者も1996年を底に徐々にではあるが、持ち直している。こうした回復傾向を、4DXによって加速させることができるのか。

映画館の新たな施策に、期待大だ。

※Weekly Briefing(トレンド編)は毎週木曜日に掲載予定です。