2024/3/13

情報氾濫時代。結果を出しているビジネスパーソンに共通する学習法。

NewsPicks Brand Design Senior Editor
 ビジネススキルをもっと伸ばしたい、自分の仕事に磨きをかけたい……。自分のキャリアアップのために、情報収集や自己投資をしなくてはと焦っているビジネスパーソンは多いことだろう。
 ほとんどのビジネスパーソンが日常生活の中で、YouTubeで気になる動画を次々に倍速で見たり、話題のビジネス書をすぐに電子書籍で読んだりして、自己研鑽につなげている。
 しかし、これらの行動は本当にあなた自身の「成長」や「目指す姿」につながっているのだろうか。
 今回は、講師と受講者をつなげるオンライン学習プラットフォーム「Udemy」の事業パートナーを務める株式会社ベネッセコーポレーションの飯田智紀さんに、ビジネスパーソンを取り巻く学習環境の現状や、キャリア別の学習方法について伺った。
ソフトバンクグループ株式会社にて経営企画・グループ会社管理、事業再生・国内外投資業務などに従事。2015年9月よりベネッセホールディングスに参画。2018年4月よりベネッセコーポレーションでUdemy事業を中心とした社会人向けリスキリング事業の責任者となり、2023年4月より現職。

激変した社会人の学習環境

──近年、ビジネススキルを習得する方法はどのように変わっているのでしょうか。
飯田 20年ほど前までは学習コンテンツにアクセスするのが大変でした。
 いざ学習を始めようと思っても、自分に合った教材を探したり、教室に通ったり、通信講座を取ったりといった手間がかかりました。
 しかし、ここ10年ほどで、社会人の学ぶ手段は非常に多様化しました。書籍やテキストだけでなく、動画や音声の学習コンテンツも一般的になり、個々の学習スタイルに合わせて学べる環境が整っています。
 スマホ一つでどんなコンテンツも学べる時代は、かつてと比較すると夢のような環境と言えるかもしれません。しかし、言い換えれば「学習しない言い訳」ができなくなったとも言えます。
 こうした人たちの中には、モチベーションや学習目的を持てずに何となく学習している人も少なくないのではないでしょうか。
 また、環境の変化を追い風に学び続けている人と、ほとんど効果的に学べていない人との間で二極化も起こっています。
 与えられた選択肢や情報が膨大な分、「どうモチベーションを維持するか」「何を学ぶか」「どう学ぶか」といった点を意識して学習に臨む必要が生じてきたと思いますね。
──選択肢の多さを活かせている人と、そうでない人に分かれているのですね。
 書籍、教室、動画、音声といった学習の媒体だけでなく、学習コンテンツの選択肢も増えたため、悩んでいる人は多いと思います。
 現在のキャリアにより磨きをかけるような学習をすべきか、マネジメントなど今後のキャリアで求められるスキルについて学習をすべきか、生成AIなどの話題の知識を身につけておくべきか、どれも悩ましいですよね。
 こうした中で、自分に必要な学習コンテンツを、自分に合った形で見つけるのは、かなり情報リテラシーが問われると思います。
 一方で、こうした学習環境を上手く活用して、キャリアアップにつなげているビジネスパーソンは少なくありません。

できる社員の共通点

──そもそも、組織内で「できる社員」はどう学んでいるのでしょうか。
 組織内で結果を出している人の学習傾向を把握するため、当社が提供している動画学習サービス「Udemy」の利用者を分析したところ、興味深い結果が出ました。
 利用者の視聴履歴を見ると、組織内で結果を出しているとされる「高評価群の社員」は、その他の評価群の社員と比べて、学習の仕方が大きく異なります。
 高評価群の人たちは、登録講座数が相対的に少なく、総学習時間と学習頻度が高い傾向にあることが判明しました。一方で低評価群の人たちは、登録講座数が相対的に多いものの、学習時間と学習頻度が低い傾向にありました。
 つまり、高評価群の人たちは「少数の講座を、定期的に、集中的に学ぶ」のに対し、他の方たちは「多数の講座を、不定期に学ぶことで、結果的に学習時間が少なくなっている」ことがわかりました。
 多くの社員が学習の幅を広げてしまうのは、何を学ぶべきかが定まっていないからかもしれません。まずは今の自分に必要な学習内容を明確にし、学習対象を絞ってスキル習得に取り掛かるのがオススメです。
──Udemyはどのような学習サービスなのでしょうか。
 Udemyは幅広いカテゴリーを扱う動画学習サービスで、講座は1本ごとの買い切り型、各分野の実務家講師がさまざまなスキルやテクニックを紹介しています。
 講座はマネジメントやエクセル、プレゼンテーションといった一般的なビジネススキルから、生成AIやデータ解析、プログラミングといった専門的な技術まで幅広く用意されており、実務家講師が学びやすさと見やすさを意識しながら動画を制作しています。
 講師の多くは、自らが実務の中で過去に困った体験をベースに講座を作り込んでいます。そのため、学習者にとってわかりやすく、深い理解につながる講座が多いのが特長です。

無料コンテンツにはないメリット

──現在、YouTubeをはじめとした無料学習コンテンツがたくさんありますが、Udemyの優位点を教えてください。
 UdemyにもYouTubeにも、それぞれの良さがあります。YouTubeとの最大の違いは「Udemyは体系立てて学ぶことができ、スキルを習得できる」という点です。
 Udemyの多くの講座では1つの動画が3〜10分のセクションに分けられており、ステップアップしながら学習が進められるように作られています。学習を定着させるため、ワークが用意されている講座もあります。
 講師が作ったカリキュラムに沿って、着実に学習が身につくのが魅力です。
 YouTubeも学習コンテンツの質が高くなっています。ただ、キャッチーな内容で視聴継続をさせる必要があるため、体系的な学習にはつながりにくい面があります。
 学習の目的が仕事で高いパフォーマンスを出すためなのであれば、体系化された講座で学ぶ必要があると考えます。
 効率的に1つの知識を身につけるためには、「これを押さえればOK」というゴールが明示されていること、そこに至るまでの学習ステップが明確である必要があります。
 その点、Udemyは一つ一つの講座が体系的、網羅的に作られている点が、ビジネスパーソンの学習と相性が良いと考えています。
 ──どうすれば、学習のモチベーションを維持できますか。
 私のおすすめは、Udemyのような学習アプリを、ゲームやSNSなどの趣味のアプリの横に置いておくこと。そして、無意識にスマホでゲームアプリを開こうとしたら、グッと堪えて隣の学習アプリを押す(笑)。
 娯楽アプリを開こうとしたということは、可処分時間があるということですから。
 小さな工夫ですが、効果は大きいと思います。
 学習を習慣化している人に共通するのは、学んだことをすぐに活用し、具体的な利益を得ている点です。
 例として、エクセル術であれば、学んだ表計算をとりあえず作ってみる、計算に使ってみる。プレゼンテーションのスキルであれば、とりあえず社内発表にチャレンジしてみるといったことが挙げられます。
 Udemyの場合、実践的なスキルやノウハウ、講師が普段から現場で使っている知識が得られるので、アウトプットにつなげやすいのが特長です。
 学習を通じて自分の行動が具体的に変われば、それは自信につながりますし、周囲からフィードバックを受ける機会も生まれます。
 アウトプットをしやすくなるよう「3日以内に使えるテーマを学習する」ことも有効です。仕事の具体的な場面を思い浮かべ、3日以内に使えそうなものを学ぶ。そして、学んだ内容を必ず実践する。
「使えた」と思えれば、学習のモチベーションは続きます。
 他にも学習を習慣化する方法として、学習量の可視化や仲間を作って一緒に学ぶ、周囲に宣言して自分を追い込むといった方法があるかと思います。

スキルアップに必要な学習

──具体的に何を学べば、スキルアップにつながるのでしょうか。
 ビジネスで必要となる学び方は「若手社員」「中堅社員」「ベテラン社員」の各ステージで異なります。
 若手社員の場合は、職場で「指示されたことを完璧にできるようにする」段階です。「この仕事なら安心して任せられる」と、組織の中で信頼を獲得して戦力になることが求められます。
 エクセルなどの基本的なスキルを一つ一つ定着させておくと、少しずつ難しい仕事を上司が振ってくれるようになります。この段階では、上司に「自分は何を学んだら良いか」と率直に聞いてもいいと思います。
 中堅社員になると、一通りの仕事ができるようになり、強みを発揮して仕事を進めるようになります。「〜〜といえば、あの人が得意」といった“代名詞”を獲得できるように、自らの強みを探したり、得意なものに磨きをかけたりすると、ビジネスの幅が大きく広がります。
 人によってはプロジェクトをリードする立場になる頃ですので「プロジェクトマネジメント」や「デザイン思考」などを学んで、思考力を鍛えたり人にわかりやすく伝えたりするためのフレームワークを身につけることも重要です。
 ベテラン社員は自分の新たな可能性を広げ、今のスキルとシナジーを生むことで活躍の場を一気に広げるチャンスです。これまでとは違うスキルの習得を目指しましょう。
 また、すでに持っている知識や価値観などを破棄して思考をリセットさせる「アンラーン(Unlearn)」も重要です。過去の成功体験などを一度横に置き、謙虚に学ぶことが、柔軟に学び続ける姿勢につながってきます。
  組織内の「できる社員」の多くは、こうした学習法を実践しています。
 ──実際に学習を進めるとなると、モチベーションを維持するのが大変そうですね。
 人間の学習動機は大きく3つです。やらざるを得なくて学ぶ「Must学習」、やってみたいものを学ぶ「Will学習」、できそうなものを学ぶ「Can学習」です。
 自分はどのタイプの学習が得意かを理解しておくと、モチベーションの維持につながるかもしれません。
──Udemyのサイトから、自分に合った講座を探す方法を教えてください。
 まずはUdemyのサイトを覗いてみてください。どんな講座があるか、見ているだけで楽しいですよ。「観葉植物の育て方」や「スマホ短編映画の撮り方」なんて講座もあります。
 講座の数は21万以上もあるため(※2023年12月時点)、検索窓にざっくりとしたキーワードを打ち込んだとしても、自分にぴったりな講座にたどり着くことができるはずです。
  興味を持った講座の概要を見てみると、学習イメージが湧くはずです。同じテーマの講座でも、講師の話し方や講座の進め方、授業内容での具体例の扱い方など、さまざまな違いをプレビューで見ることができます。自分に合った1本を選べるでしょう。
 まだ自分が何を学びたいかがもやっとしている人は、下に紹介している「世代別おすすめ講座」から1つ選んでみてください。
 先ほどの私の話に沿って、「若手社員」「中堅社員」「ベテラン社員」それぞれに自信を持っておすすめできる講座を並べています。
 ビジネスで次のステップに進む足がかりにしてほしいですね。
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