(ブルームバーグ): 米アップルに最も長く在籍している上級インダストリアルデザイナー、バート・アンドレ氏が退社する。同社の代表的製品のデザインを手掛けてきたジョニー・アイブ氏がかつて率いたチームの人材が、ほぼ完全に流出する形となった。

1992年にアイブ氏と共にアップルに入社したアンドレ氏は今月に入り、同僚に退職すると告げたと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。同氏はアイブ氏の時代から残っている最後のデザイナーの一人で、90年代後半にスティーブ・ジョブズ氏がアップルのトップに復帰する以前から、過去30年間に発表されたアップル製品の「美学」を作り上げるのに寄与した。

アンドレ氏はアイブ氏の最側近の一人として知られ、アイブ氏の後任だった前責任者のエバンス・ハンキー氏が昨年退社した後は、チームの運営にも携わった。同氏はまた、アップルで最大の特許保有者の一人としても知られている。

トップデザイナーのコリン・バーンズ氏、ショータ・アオヤギ氏、ピーター・ラッセルクラーク氏はいずれも昨年末ごろに退社している。また、同社のソフトウエアデザインチームに長年在籍した複数のデザイナーも、近い将来に退社する意向を示している。

インダストリアルデザインチームとユーザーインターフェースグループは現在、ジェフ・ウィリアムズ最高執行責任者(COO)によって統括されている。同氏は2019年にアイブ氏が退社してからこの役割を担ってきたが、ハンキー氏の昨年の退社後にインダストリアルデザインチームを直接管理することになった。

デザインとイノベーションに専念する部門をオペレーション担当者が統括することに対して、一部のスタッフから反発が起きていると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。コスト削減策も不安に拍車をかけているという。

アップルはコメント要請に応じていない。

アイブ氏の中核デザインチームは、10年余りにわたって二十数人で構成されていたが、19年に同氏が退社したころから人材流出が始まった。アイブ氏の直属だった上級デザイナーは現在、ほぼ全員が退社している。これらのデザイナーの多くは、同氏が設立したデザイン会社ラブフロムに加わった。

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原題:Apple’s Longest-Serving Designer to Depart, Adding to Exodus (1) (抜粋)

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