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パキスタン総選挙、カーン氏・シャリフ氏双方が勝利宣言 混迷一段と

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    静岡県立大学国際関係学部 准教授

    やっかいな選挙結果です。
     そもそも、パキスタンは、経済的にもですが、政治的にも爆発寸前です。

    パキスタンの選挙というのは、暴力がつきもので、毎回、爆破や銃撃で何十人かは死ぬし、今回も立候補者を含め、多数が死亡しています。
     それだけならいつも通りですが、今回は危機的な状況のところで無茶な選挙をやって、微妙な結果が出ました。

    パキスタンは2大政党、ムスリム連盟と人民党の世襲議員たちが国軍と談合しながら維持してきた国です。
     しかし、2018年総選挙では、イムラン・カーン元首相のパキスタン正義運動が大躍進して第1党に、既存体制の打破を呼びかけました。
     ここから、現在の対立構造ができています。

    2022年4月、イムラン・カーン氏は失脚し、首相の座を追われました(2大政党が正義運動の議員たちを引き抜いたことによる)。
     総選挙を控えた2023年10月、イムラン・カーン氏は逮捕され、現在も収監中です。
     正義運動は政党としては立候補を禁じられ、無所属での立候補となりました。

    総選挙当日は、インターネットも携帯電話も使えなくなり、投票終了後も各地の選挙管理員会に結果の発表が禁じられるなど、いろいろおかしかったです。
     それでも、とにかく出た選挙結果(下院総議席数266。現在251議席が発表済み)は、
    正義運動 91
    ムスリム連盟 71
    人民党 54
    です。
     単独過半数を取る政党はありません。
     現状だと、2大政党がいくつかの小政党を巻き込んで連立政権をつくる可能性が高いでしょう。
     それだけなら、まだ正義運動が第1党なのに政権を取れなかった、というだけの話です。

    パキスタンでは、西部ではパキスタン・ターリバーン運動などの武装反乱が広がり、
    経済的にはインフレ、物不足、いつデフォルトしてもおかしくない対外債務の累積、ドルに対して下がり続ける通貨ルピー、等々、すでにギリギリの 状態です。
     ここで、正義運動支持者たちが暴れ出すと、ダムが決壊するようなことになりかねません。


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