(ブルームバーグ): ソフトバンクグループの出資先で経営破たんした米ウィーワークの共同創業者、アダム・ニューマン氏は、ヘッジファンド運営会社サード・ポイントを含む資金提供者とともに、ウィーワークへの買収案を検討している。同社の弁護士宛ての書簡の内容をブルームバーグ・ニュースが確認した。

書簡によると、ニューマン氏とサード・ポイントは昨年12月以降、買収案の策定に必要な情報をウィーワークから入手しようと努めてきた。足元では、DIPファイナンス(つなぎ融資)パッケージの策定にも取り組んでいる。

書簡によると、買収案では会社全体か、同社の資産を取得する内容となる見通し。ニューマン氏がウィーワークに対してどれだけの資金を提供する用意があるのか、詳細には触れていない。ニューマン氏は2019年、ウィーワークが最初に試みた新規株式公開(IPO)計画がとん挫したことを受け、最高経営責任者(CEO)を辞任した。

ニューマン氏と同氏の不動産新興企業フローの担当弁護士は書簡で、ウィーワークから十分な情報が得られないため、買収案を策定する取り組みが滞っているとして不満を示した。

ニューマン氏の代理人を務める法律事務所クイン・エマニュエルの弁護士、アレックス・スピロ氏は「すべての利害関係者にとって価値の最大化につながることを意図した取引において、ウィーワークがクライアントに情報提供すらしようとしないことに落胆している」と述べている。

サード・ポイントは声明文で、ウィーワークへの買収案についてはニューマン氏側と予備的な協議を行っただけで、いかなるディールについても支援を確約したわけではないと述べた。

ウィーワークは声明文で、外部から定期的に関心が寄せられているとし、顧問が「当社の最善の利益のために行動する」との観点から検討すると述べた。持続不可能な家賃支出への対処と事業の再構築に目下注力することで「ウィーワークが将来にわたって力強い財務を備えた価値ある、持続可能な独立企業として最善の位置につくよう確実にする」と続けた。

買収案については、米紙ニューヨーク・タイムズが先に報じていた。

書簡では、ウィーワークの事業を安定させるため2022年終盤に提案された10億ドルの資本増強計画を含め、ニューマン氏が融資を試みた経緯の概要が記されている。直近では、ニューマン氏はウィーワークに2億ドルのつなぎ融資を提供する正式な提案を行ったが、必要な情報を入手することができなかったという。

ウィーワークに対しては5日、昨年11月初旬に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請して以降、事業再編計画に進展が見られないとして、債権者や家主も担当判事に対して不満を表明した。ウィーワークの無担保債権者委員会によると、同社はまだ事業計画を更新しておらず、どのように裁判所の監督下から脱却するのか、重要な詳細を提示していない。

裁判所の文書によると、ウィーワークの破産計画では、信用枠、第1および第2抵当権付債券の保有者を含む最上位債権者に所有権を渡すことが提案されている。第3抵当権付債券および無担保債権者は全額を失う可能性が高い。

ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、ニューマン氏の純資産はなお推定17億ドルに上る。

 

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原題:Adam Neumann Angles to Buy WeWork Out of Bankruptcy Court (3)(抜粋)

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