【新潮流】今、面白い本は「一人出版社」から生まれる
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本のつくられ方もずいぶん変わりました。
電子書籍の普及、オンデマンドの印刷、そして書店の衰退。
取次ぎを通して書店に本を並べてもらう、ということの価値が減りました。
NewsPicksを読む人は、そのぶん、新聞や雑誌を読む時間が減ったり、かけるお金を減らしている、と考えられます。
他にもスマホでソーシャル・メディアを見たり、ゲームをしたり、紙・電子を問わず、本というメディアである必要すら薄れてきました。
本をつくるのは、コストがかからず、簡単にできるようになりました。
これは、本をつくれば儲かるようになったということではありません。
コストは下がりましたが、それ以上に市場が縮小し、競争相手が増えているからです。
本をつくることは、金銭的利益のためではなく、趣味のため、あるいは数ある発信手段の1つ、程度と考えた方がよくなりました。
紙・電子を問わず、本がたくさん売れれば儲かる、というモデルは成り立たなくなるでしょう。
Kindle Unlimitedなどのようなサブスクリプションか、ジャンプ+のようなアプリの課金で収益を上げる、という方が、大手では主流になるでしょう。
収益を度外視するなら、もっといろいろやりようはあります。
本自体は読まれるのですから、本そのものの売上で収益を上げようとはせずに、ニッチな需要にフォーカスして、コミュニティの形成、囲い込みの道具として用いられればいいことです。収益はそこからまた別の手段で上げればいいでしょう。
19世紀と20世紀に紙の印刷物が爆発的に売れた、というのは歴史上のほんの一時期だけの現象で、持続するものではありません。
本が、様々な一定範囲の人々を結ぶメディアであるということは、数千年前も今後も変わりません。私も昨年初めて東洋経済様から書籍を出版しましたが、無名の私の出版は簡単なことではなかったです。決定するまでは複数の出版社に企画を持ちこみ、『売れなさそう』と判断されるとボツになるプロセスはなかなかしんどかったです。当時も1人出版をお勧めされることも多く、その存在は心の支えになったことを覚えています。
個人的なおすすめはどこかの雑誌で連載をもつことからのスタートです。原稿にもなり、実績もでき、企画も通しやすくなる印象でした。一人出版社が増えている背景には、出版業界の構造的な問題があります。マーケットが縮小しているのに刊行点数が増えるというのは、異常でしかありません。
そうした中で、より本質的なものづくりをしようと(もちろん既存出版社でも、素晴らしい作品はたくさんありますが)自分で出版社を立ち上げる編集者が増えるのは、必然のように感じます。