(ブルームバーグ): SOMPOホールディングスは26日、桜田謙悟会長兼グループ最高経営責任者(CEO)が3月末で辞任すると発表した。傘下の損害保険ジャパンの白川儀一社長は1月末で辞任する。中古車販売大手ビッグモーターによる保険金不正請求問題を受け、経営陣を一新してグループ全体での立て直しを図る。

桜田氏は同日、都内で開いた記者会見で「今回の事態をグループCEOとして大変重く受け止めている。信頼を損なうような事態を引き起こしたことは痛恨の極みであり、深く反省している」と謝罪した。自ら辞任を申し出たという。辞任後は一切の役職に就かず、グループの経営から身を引く。

ビッグモーターによる保険金の不正請求を認識しながら保険契約の拡大を優先して同社との取引再開を決めた損保ジャパンを巡る問題は、管理責任を問われた親会社SOMPOのトップ辞任に発展した。

桜田氏は2010年に損保ジャパン社長となり、15年にはSOMPOのグループCEOに就任。経済同友会の代表幹事も務めた。

SOMPOの後任CEOには奥村幹夫社長兼グループ最高執行責任者(COO)が4月1日付で、損保ジャパンの新社長には石川耕治副社長が2月1日付でそれぞれ就く。

会見で奥村氏は「信頼回復なくして、グループの将来を語ることはできない」と述べ、再発防止に取り組む考えを示した。石川氏は「顧客や社会からの信頼を回復するためには経営の言行一致が第一だ」と語った。

金融庁は25日、損保ジャパンとSOMPOに対して業務改善命令を出し、両社に経営責任の明確化を求めた。問題の原因として歴代社長によって築かれた顧客視点よりも営業を優先した企業文化を挙げた。また、SOMPOが適切な企業文化醸成に向けた取り組みを十分に行っていない点も問題を拡大させたとした。

福岡大学の植村信保教授は「ビッグモーターの保険金不正請求問題の被害者は、自動車保険の加入者すべて。損害額を判断しにくい立場にある加入者と保険会社との信頼関係で成り立つ保険の仕組みを揺るがすような深刻で大きな問題だ」と指摘。「個社の問題で終わらせず、代理店との関係など保険全体の仕組みを業界挙げて見直していく必要がある」との見方を示した。

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