(ブルームバーグ): 米アップルの株価はこのところ、同社の成長はすでにピークを過ぎたとの見方に圧迫されている。2月2日に発売予定の複合現実(MR)ヘッドセット「Vision Pro」はアップルにとって過去数年で最大のイノベーションだが、そうした見方を変えるのに大きな役割を果たすことはなさそうだ。

Vision Proの予約受付は19日から開始される。価格が3499ドル(約52万円)の同デバイスの売れ行きについて、アナリストは慎重な見方を示している。「iPhone」を大ヒットに導いたような一般消費者が欲しがる機能が今のところ見当たらないからだ。人工知能(AI)の波に乗るマイクロソフトに時価総額世界首位の座を奪われたのも、アップルには目立った成長材料が欠けていることが大きな理由だ。

ジャナス・ヘンダーソンでテクノロジー・セクターのファンドを運用するデニー・フィッシュ氏は「スマホでは得られないコンテンツが限られている製品に3500ドルも払わせるのは難しい。つまり、少なくとも今後数年間はかなりニッチな製品になるだろう」と述べた。

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ウォール街ではVision Proへの期待は盛り上がっておらず、業績などへの影響は限定的との見方が多い。UBSでは今年の出荷台数を30万-40万台と予想。アナリストのデービッド・フォークト氏は、2023年度の売上高が3830億ドルのアップルにとっては「取るに足らない」と語った。

アップルは2024年に成長を回復するとみられているが、ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめたデータによると、予想される増収率は約3%。S&P500種株価指数のテクノロジーセクターの予想増収率の半分に過ぎない。対照的にマイクロソフトは通期で15%の増収が見込まれている。

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原題:Apple Headset Lacks Blockbuster Buzz Needed to Energize Shares(抜粋)

--取材協力:Thyagaraju Adinarayan.

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