(ブルームバーグ): 米アップルは18日から、血中濃度測定機能が作動しないスマートウオッチ「Series 9」と「Ultra 2」の米国での販売を開始する。同機能を巡る医療機器メーカーのマシモとの特許係争で、アップルが敗訴したのを受けた措置。

アップルは17日、修正版のウオッチを同社の小売り店舗とオンラインストアで販売すると発表した。修正モデルは同機能を搭載しているが、作動はしない。

米国際貿易委員会(ITC)は昨年10月、「Series 9」と「Ultra 2」の血中酸素濃度を測定する機能がマシモの特許を侵害しているとして国内販売禁止を命じた。これを受けてアップルはクリスマス直前に販売を停止したが、ITC命令の効力停止を求めたアップルの申し立てに対して米連邦特別行政高裁が12月、係争期間中の販売禁止措置を一時停止する暫定判断を下し、アップルは販売を再開していた。

特別行政高裁は17日、ITCが命じた同デバイスの販売禁止措置について、長期の差し止めを求めていたアップルの訴えを退けた。これにより、アップルは販売禁止措置に関する上訴が行われている間、酸素測定機能付きウオッチの販売を停止しなければならなくなった。アップルは上訴の行方が決着するまで1年か、それ以上かかるとみている。

アップルは血中酸素濃度の測定機能付きウオッチ販売停止を-高裁 (1)

その結果、アップルは血中酸素測定機能が作動しないウオッチの販売という異例の事態に追い込まれた。同社は係争中の販売禁止措置を回避するため、機能を作動させないソフトウエアの修正版を開発。販売禁止措置を執行する米税関・国境警備局(CBP)は先週、アップルの変更措置を承認していた。

アップルは国内販売再開の発表文で、「上訴期間中に命令を順守しつつ、混乱を抑制しながら顧客がウオッチを利用できるようにする措置を講じた」と説明。さらにアップルの上訴は継続中であり、同高裁はITCの決定を覆すべきだとの考えを示した。同社はまた、血中酸素測定機能は米国外で販売されたモデルで引き続き利用可能であるとしている。以前に購入したモデルも、血中酸素濃度をチェックする機能は維持される。

今回の高裁判断を受けて、マシモの株価は8月以来の高値となる2.1%高の122.57ドルで取引を終えた。同社のジョー・キアニ最高経営責任者(CEO)は発表資料で「米特許システムの健全性の勝利だ」とコメントした。

アップルにとってマシモとの特許訴訟は、米国市場で主力商品の1つを脅かすものであり、前例のない事態だ。ウオッチはアップルのウエアラブル・ホーム・アクセサリー事業の柱であり、同事業は昨年、売上高全体の10%以上、金額にして400億ドル(5兆9200億円)近くを稼ぎ出していた。

原題:Apple to Sell Watches Without Oxygen Feature After Legal Setback(抜粋)

 

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