2024/1/18

【革命】「飲むだけで運動したことになるクスリ」登場

NewsPicksでは週7日毎日、世界のトレンドの背景を追う連載シリーズを開始しています。木曜日は「The Next Big Thing(次のテクノロジー)」です。
INDEX
  • 「健康には運動が一番」だが…
  • 運動不足をクスリで解消?
  • 危険レベルの副作用も
  • 油っこい食事でもやせる
  • 「ヒット商品」なるか

「健康には運動が一番」だが…

北極圏のすぐ南にあるノルウェー北部の病院で、ある画期的な試みが行われている。
高齢化社会における健康への取り組みを、今後一変させるかもしれない。
ExPlas(エクササイズ血漿[けっしょう])と呼ばれるこの臨床試験では、運動習慣のある若くて健康な成人から採取した血漿を、アルツハイマー病の初期段階にある50歳から75歳の患者に注入する。
この療法が、人で試されるのは初めてのことだ。
結果の全貌は2025年に公表予定だが、高齢者の心と体の若返り薬として期待が高まる。
いずれはデスクワークの多い私たちも使えるようになるだろう。
(SpiffyJ/Getty Images)
研究者たちのあいだでは、「病気にはどんな薬よりも運動が効く」というのは常識だ。
運動により認知症リスクを最大45%も低下させることが研究で明らかになっている。
強い骨を作り、血管をしなやかに保ち、減少していく筋線維を再生する効果もある。
2023年8月、イギリスの医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に発表された研究報告によると、週に1時間15分の適度な運動(推奨量の半分)をするだけで、まったく運動をしない場合に比べ、がん、心臓病、早期死亡のリスクが低下するという。
健康に関するガイドラインで提言されているにもかかわらず、イギリス人の4人に1人はあまり運動していない。
(bymuratdeniz/Getty Images)

運動不足をクスリで解消?