米シノプシス、ソフト開発のアンシスを買収 5.1兆円で
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長らく半導体設計に身を置く立場としては、色々なSimベンダーを吸収してきたAnsysがついに買われる側になったか、という点が感慨深いです。
村井さんもおっしゃっていますが、生成AIの盛り上がりによってヘテロジニアスインテグレーションと呼ばれる後工程の重要性が増しています。
異なる線幅で回路を描いたチップレットを統合することで良品率を上げられる、というのは理解しやすい言い分ですが、前工程、後工程それぞれの良品率を考えなければなりません。
特にチップレットサイズが異なる場合は熱による膨張量が異なりますので、それぞれのチップレットを接合する際の信頼性設計には注意が必要です。
大面積チップレットをターゲットにして信頼性設計をして接合技術を最適化すれば、小面積チップレットに対してはオーバースペックかつ高コストになる可能性もあります。
小面積チップレットをターゲットにすれば、大面積チップレットの信頼性が低下するわけで、信頼性とコストを両立させる後工程技術の実現が後工程技術者の腕の見せ所だと思っています。
なお、SynopsysはEDAツール最大手として高い知名度を有していますが、半導体IPコアでもArmに次ぐ業界2位の座であることも忘れてはいけません。
構造・熱設計が得意なAnsysを取り込むことで、半導体設計のみならずパッケージ化を見据えたSimツールラインナップが揃うことになるため、今後の動きには要注目かもしれません。SiemensがMentorを買収したのに比べるとよりシナジーが高そうに思いました。
半導体後工程の重要性が増してくると、Synopsysが得意なSi設計と、Ansysが得意な構造・熱設計を連携させる必然性が増します。これまでは両ソフトウェアを連携させようとすると変換ツールをユーザーが作るケースもありましたし。シノプシスがアンシスを買収するという噂が流れていましたが、やっぱりか、と思いました。シノプシスはシリコンチップ上に回路図を作り、マスクまで出力するEDAツールとIPが強い企業ですが、パッケージ以降の設計は弱い。シーメンスEDAが半導体からプリント基板回路設計までカバーしており、これからチップレットや3DICなどの先端パッケージ技術のEDAツールの王者の座を狙っています。
また、日本の図研もプリント回路基板の設計に強く、先端パッケージ技術の設計ツールで頑張ればチャンスがあります。
シノプシスは、先端パッケージ技術を強化し、3DICやチップレット実装設計を強化するため、シミュレーションツールのアンシスを買収しました。3DICではシミュレーション技術は必須になります。