2024/1/14

【教養】ファッションを「捨てない」時代がやってくる

NewsPicks 記者
これらは今、フランスで現実になっていることだ。
4つとも、22年から23年にかけて始まったばかりの施策である。
もう安易に「エコ」と謳うだけでは許されなくなった。服は修理するものへと変わったのだ。
繊維は石油産業に次ぐ環境に悪い産業であると言われ、気候変動対策のための重点領域に数えられている。
この問題に最も先行して取り組んでいるのが、EUだ。
2022年にEUは、ファストファッションというビジネスモデルを「時代遅れ」と完全否定。域内からファストファッションビジネスを排除する姿勢を見せた。
そして、こうした変化は日本も無縁ではない。
EUで進む規制や構造改革の波は、これから必ず日本にもやってくる。
規制は未整備だが、リペア工房を併設したショップや、いらなくなった服の回収箱が設置された店舗はもはや珍しくはない。
集めた商品を黒や青に染めたり、自社工場でリメイクしたりして販売する方法は、徐々に広がってきている。
そう、静かに変化は訪れているのだ。
アパレル変革の規制と最新の状況を、歴史を踏まえながら読み解いていく。
INDEX
  • 不可逆なサステナの歴史
  • 具体的な50の規制たち
  • 「地球に優しい」はアウト
  • フランスの「今」が参考になる
  • 変われない、ファストファッション

不可逆なサステナの歴史

サステナビリティに対する取り組みは古くから存在するものの、2000年代くらいを起点に大きなムーブメントへと成長した。
とりわけ2012年頃から、アパレル業界全体にサステナビリティに対する意識が浸透していった。
2015年12月に開催された「第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)」を契機に、ESG投資が盛んになり、上場企業ではサステナビリティへの関心や機運が高まっていった。
業界内で、「温暖化に対して全世界的な枠組みを作って取り組まなくてはならない」という意識が芽生えたのもこの時期だ。
2019年になると、アパレル業界のサステナビリティに対する取り組みが本格化した。