David Lawder

[ワシントン 9日 ロイター] - 世界銀行は9日、最新の世界経済見通しを公表し、2024年の世界の経済成長率が2.4%と、3年連続で鈍化すると予測した。多くの途上国が貧困の長期化と高水準の債務に見舞われるとしている。

20年代前半の経済成長率は、5年間としては過去30年間で最悪となる可能性が高い。新型コロナウイルスの流行、ウクライナ戦争、各国のインフレ率・金利の急上昇が背景。

23年の世界の経済成長率は2.6%、22年は3.0%、21年は6.2%だった。

24年の経済成長率は、新型コロナ流行を受けてマイナス成長となった20年を除けば、09年の世界的な金融危機以降で最低となる。

25年は2.7%にやや加速する見通しだが、6月時点の予測の3.0%から下方修正した。先進国の景気減速が予想されるという。

世銀は30年までに極度の貧困をなくす目標を掲げているが、地政学的な紛争により、達成は難しいとみられる。

世界銀行グループのチーフエコノミスト, インダーミット・ギル氏は「大幅な軌道修正がなければ、20年代はチャンスを無駄にした10年として終わるだろう」と指摘。

「短期的な成長は依然弱いままで、多くの途上国、特に最貧国がわなに陥る。債務が麻痺を招く水準となり、3人に1人近くが食料難に直面する」と述べた。

<好調な米個人消費>

23年の世界の経済成長率は6月時点の予測から0.5%ポイント上方修正された。米経済が力強い個人消費を受けて上振れしたことが背景だ。

23年の米経済成長率は2.5%で、6月時点の予測を1.4%ポイント上回った。24年の見通しは1.6%。貯蓄が減少する中、景気抑制的な金融政策が経済活動を圧迫するとみられている。ただ、今回の見通しは6月時点の予測の2倍という。

ユーロ圏経済は相対的にかなり厳しく、23年の経済成長率は高水準のエネルギー価格を背景に0.4%にとどまった。24年の予測は0.7%。信用状況のタイト化を受けて、6月時点の予測から0.6%ポイント下方修正した。

<中国経済は一段と減速>

中国経済も世界経済の重しとなっている。24年の同国の経済成長予測は4.5%。新型コロナ流行の悪影響を受けた20年と22年を除けば、過去30年余りで最低となる。

6月時点の予測から0.1%ポイント下方修正した。不動産部門の混乱が続き、個人消費が低迷していることが背景。25年の経済成長率はさらに鈍化し、4.3%となる見通し。

世銀のアイハン・コーゼ副チーフエコノミストは、中国の景気減速について「人口減少と高齢化、負債増大に伴う投資の制約、生産性向上の機会縮小を背景に潜在成長率が鈍化する道に戻りつつある」と指摘した。

新興市場国・途上国の24年の経済成長率は3.9%と、23年の4.0%から鈍化し、10年代の平均を1%ポイント下回る見通し。

この水準の成長率では、増大する人口が貧困から脱却できず、24年末には途上国の人口の約25%、低所得国の40%が新型コロナ流行前の19年より貧しくなるという。