経済団体に賃上げ要請、「国民に実感してもらう年に」=岸田首相
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注目のコメント
場当たり的ではない所得分配政策の原理原則を示すべき状況になって来たと思います。株主など資本に対してはガバナンス改革、労働者の賃金については正式に所得政策として、分配率を示すべきです。何もこれは新しいことではなく、昔の分厚い中間層がいた時代の日本に戻すことなのです。今の企業部門は史上最高の利益で20年前の3倍、労働者は20年前と同じ所得というのは、いくらなんでも問題があると思います。この歪みの原因が所得分配です。
日本の多くを占める(企業数も従業員数も)中小企業の動向が肝要ですが、「原資がない」という記事中のコメントは、そのとおりかと思います。
法人企業統計で従業員一人当たり付加価値額を見ると、大企業(資本金10億円以上)は趨勢的に伸びていますが(92年度:1,067万円⇒22年度:1,453万円)、中小企業(資本金1千万円~1億円)や零細企業(資本金1千万円未満)は、横ばいどころか下がっています。中小企業は92年度619万円⇒22年度569万円、零細企業は92年度580万円⇒22年度479万円です。かけ声だけで、言い換えると、労働分配率を上げるだけでは限界があるので、労働生産性を上げる必要があります。
また、「日本企業、最高益」という報道との比較もされがちですが、賃金を考える際は、受取利息や支払利息といった営業外損益や、コロナの支援金等が計上される特別損益を除外して考える、つまり営業損益で見る必要があると考えます(賃金は固定費の性格が強いので、安定的・構造的な収益構造と比較する必要がある)。営業利益は全規模で確かに41兆円(92年度)⇒63兆円(22年度)と上昇していますが、増加分は全て大企業・中堅企業で説明がつき(23兆円⇒50兆円)、中小・零細は下がっています(18兆円⇒12兆円)。なお、それぞれのカテゴリーに属する企業数や従業員数の変動を考慮していませんので、ややラフな比較にはなります(なので、従業員一人当たり付加価値額と比較することがフェアだと考えます)。
中小企業浮上のカギは、事業承継・M&Aの促進⇒設備投資増と考えます。今年は定額減税もありますからね。
ただワンショットであるがゆえに、来年以降の国民の負担増の実感がより強くなると思います。
いまの減税よりも将来の負担増抑制のほうに使ってほしかったです。