(ブルームバーグ): 日本航空(JAL)は4日、2日に発生した羽田空港滑走路上での海上保安庁機との衝突事故に伴い、同社の新鋭機エアバス350-900が全損し営業損失約150億円を計上する予定だと発表した。

発表によると、JALは同機については航空保険が適用されるものと見込んでいる。今期(2024年3月期)業績への影響は「現在精査中」で、今後開示すべき事実が生じた場合には速やかに公表するという。同社は10月、今期純利益予想を前期比約2.3倍の800億円と従来予想の550億円から引き上げていた。

JAL516便は2日夕、羽田空港滑走路に着陸直後に海保の機体と衝突し、炎上した。JAL機に乗っていた乗員乗客は全員脱出した一方、6人が搭乗していた海保機では5人が死亡した。

JALによると、同機を納入したのは21年11月。新鋭機が1機失われたことに加え、事故の起こった滑走路の閉鎖が続いている影響で同社やANAホールディングス(HD)の運航便で4日も一部欠航が続くなど影響が広がっている。

羽田空港の滑走路の一部で閉鎖が続いている影響で、JALでは4日の国内線で68便が欠航となっているほか、ANAHDでも95便が欠航となっている。影響旅客数は両社計約3万4000人超に上った。

JALの株価は4日、一時前営業日比2.5%安の2706円と2023年11月1日以来の日中下落率を付けたが、その後は上昇に転じ、0.8%高の2796.5円で取引を終えた。ANAHD株も同様の値動きで、終値は1.9%高の3119円となった。

JALの青木紀将常務執行役員は2日の記者会見で、事故により今後の座席供給や経営に対する影響は「もちろんある」としたが、詳細については確認をする必要があると述べるにとどめていた。青木氏は3日の会見では、機材繰りへの影響を極小化し、利用者に対しても早めの通知をするよう務めていくと述べた。

ブルームバーグ・インテリジェンス のティム・バッカスアナリストらは3日付のリポートで、事故に伴うJALへの経済的な影響は「限定的」となる可能性があるとの見方を示した。同氏が英航空データ分析会社シリウムを引用して説明したところによると、このような航空機には新造時の価格の少なくとも110%、つまり約1億5000万ドル(約215億円)の保険がかけられているのに対し、製造から2年後の同機の価値は約1億1800万ドルだという。

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(欠航便数や株価の情報を追加して更新します)

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