2023/12/19

【独占】国産SaaSベンチャー、上場せず「ファンド傘下」選ぶ理由

NewsPicks 副編集長
スタートアップの“常識”が大きく変わるかもしれない。
ベンチャーキャピタル(VC)からの出資を受け、その資金を元手に売り上げを伸ばし、株式上場を目指す。これがスタートアップの成長の定石とされてきた。
しかし人事管理のSaaS(Software as a Service)を手掛ける「HRBrain」は、日本で前例のない道を選んだ。
HRBrainは11月27日、北欧スウェーデンを本拠とするプライベートエクイティ(PE)ファンド大手のEQTから出資を受けると発表した。
EQTは全世界で2320億ユーロ(36.1兆円)を運用する巨大ファンドだ。
今回はVCのような少額出資ではなく、発行済株式の50%以上を取得する過半出資だ。事業会社であれば「買収」である。
既存のVCなどの投資家はEQTに株式を売却し、イグジットとなる。12月18日までにEQTによる払い込みが完了した。
株式上場ではなく、しばらくの間、PEファンドの傘下で新たな成長ステージに入るのが狙いだ。
上場前のスタートアップにPEファンドが過半出資するのは、アメリカなどでは少なくないが、日本では異例だ。
NewsPicksはそんな前例のない取引をまとめた当事者たちに、発表後初めて独占インタビューを敢行。
HRBrainの堀浩輝CEOと、EQTの日本拠点でPE投資の責任者を務める鬼塚哲郎パートナーに、大型案件の裏側について話を聞いた。
INDEX
  • HRBrainってどんな会社?
  • PEファンドとなぜ組んだ?
  • 大型のM&Aも可能に
  • 日本で後発のファンドとしての戦い方
  • 「株主が2人だけ」のメリット
  • 毎年のようにプロダクトを増やす
  • ファンドの知見を何でも使ってもらう

HRBrainってどんな会社?

インタビューに入る前に、HRBrainがどんな会社なのかをおさらいする。