(ブルームバーグ): 富士通が売却手続きを進めている新光電気工業の入札で、政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)が優先交渉権を得る見通しとなった。事情に詳しい複数の関係者が12日、明らかにした。

同関係者らによると、JICは大日本印刷と三井化学と連合を形成し、株式公開買い付け(TOB)により、新光電工の株式すべてを買い取り、非上場化する。買収価格は8000億円を超える規模で、今週中にも発表する見通し。ブルームバーグのデータによると、富士通は時価総額約7200億円の新光電工株を50%保有している。

富士通は8月、新光電工の株式売却を目指して1次入札を実施し、JIC陣営のほか、米系投資ファンドのKKR、ベイン・キャピタル、アポロ・グローバル・マネジメントが買い手候補として残っていた。

富士通の磯部武司最高財務責任者(CFO)は10月の決算会見で、新光電工の売却先について、次の成長に力強くつながっていくように新しいパートナーを慎重に探しているとし、「時間は少しかかっているが、しっかり進めている」と話した。

富士通は、傘下の新光電工のほか富士通ゼネラルを非中核事業と位置付け、株式を売却する手続きを進めている。ただ、株価の上昇などにより融資団が買収資金の提供に慎重姿勢を示したことなどで、売却を巡る交渉に時間がかかっている。

この件に関して各社に問い合わせたところ、富士通、JIC、新光電工、大日印の広報担当者は、個別の案件についてはコメントを控えるとした。三井化学の広報担当者は現時点で答えられることはないとし、今後開示できる事項が決定したら速やかに開示すると述べた。

JICは6月、レジスト大手のJSRをTOBにより買収すると発表した。買収総額は約9000億円で12月下旬の実施に向けて準備を進めている。

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--取材協力:古川有希、稲島剛史.

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