円高の激震はいつまで続くか、どこまで進むか
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いつもとは違い、短めな話ですが、今回のことをもって98年や07~08年と比較するのは単純過ぎる話で、共に日本の歴史上、特に貿易黒字が大きかった時代であることも知っておきたいところです(98年は最大)。今や実需がもはや円安になっている一方、投機だけでどこまで円高に掘るのか?は次の興味になります。
また、名目レートはある程度循環的な節目に来ている疑いが強いですが、実質レートは殆ど修正が進んでおらず、後者が安い日本の象徴であることも大事です。米国金利が急上昇して高止まりするなか、異次元緩和を継続して低金利のみならず円安を事実上保証する発信を日銀が繰り返しましたら、円高・ドル安で為替差損を蒙るリスクをそれほど意識せず、金利の低い円を売って金利の高いドルを買って金利差益を稼ぐキャリー取引が容易になりました。それが急激な円安を招いたので投機的な要因に目が向きがちですが、貿易収支がかつての黒字から赤字に転じたのみならず、経常収支を構成するサービス収支の中にも日本の衰退を示す要素が隠れています。それは、①円安とインフレ率の差で日本のモノとサービスが外国人にとって急激に安くなり、外国のモノとサービスが日本人にとって急激に高くなった結果、旅行収支が大きく改善したことと、②デジタル技術等で日本が大きく立ち遅れた結果、情報関連の収支が大きく悪化したことで、①と②を併せれば収支の辻褄は合いますが、日本の国力低下を反映する動きであることは否めません。
要はモノの分野でもサービスの分野でも世界の中で日本が相対的に弱くなったことは明らかで、それが円安を招いた分は、彼我の金利差が変わっても簡単には戻りません。「150円付近が140円付近に巻き戻っただけで超円高が復活したかのような騒ぎになる現状こそ、円の価値が過去2年で著しく減じられてしまった事実を示している」とのことですが、その通りだろうな、と改めて思います。