正しく体を揺らすと健康になる

正しく体を揺らすと健康になる・連載第14回

体の歪みのチェックポイントは膝、目線、あご、肩

2015/4/20
体に歪みがあっても、自覚症状は出づらい。歪んだままでも動けるように体が調整してくれるからだ。だが、それが新たな歪みを生み、いつか限界がくる。体の歪みをチェックするには、どこを見ればいいのか?

横たわった体のチェックポイント

昨年、ある会社を訪れ、会議室をお借りして男性1人、女性4人の体をチェックさせていただきました。

施術用のベッドはありませんので、会議用の硬い机に横になってもらいました。

特に体に問題はないという話は事前に聞いていたのですが、驚いたことに至る所に体の歪みが見られました。

仰向けになった状態で一番目立つのは、膝が曲がってしまい、膝の下に大きな隙間ができてしまっていることです。
 01_床と膝と隙間

互いにひざ下を横から覗き込んで、両膝下の向こう側が、丸見えの状態になっていることに驚いていました。

中には、太ももの裏側がまったく床面に接しておらず、手のひらを床面に沿って動かすと、膝の下からお尻まで、すっと動かせる方もいました。

力を抜いてゆったり横たわった状態で、膝が曲がってしまっているということは、もちろん立っているときにも同じ状態のはずです。

試しに、このかたちをわざと再現して、膝を曲げたまま立ってみてください。

すると上半身を真っ直ぐ立てることは難しく、前かがみになってしまうことがわかると思います。この姿勢で無理に腰を伸ばそうとすると、腰に大きな負担がかかります。

さらに頭も前に倒れてしまうので、それを起こそうと首にも力が入って、肩こりや首の痛みにつながってきます。

寝たときに目線が斜め上を向いていないか

横たわった状態に話を戻すと、「膝」だけでなく、「目線」にも普段の姿勢の良し悪しが表れます。

普段猫背になっている人は、「目線」が真上ではなく、斜め上を向いて遠くを見ているような状態になってしまいます。

さらに「あご」が上がり、「肩」が浮いてしまいます。

腰が反ってしまい、胸というよりもお腹が膨らみ、出っ張っているように見える方もいました。

以前の連載にも書きましたが、女性はかかとの高い靴を履くことが多く、膝を曲げたまま体を使ってしまい、それが歪みの大きな原因になっています。

いつぎっくり腰になっても、いつ寝違えて首が回らなくなったと言われても、不思議ではない状態でした。

何度も言いますが、痛みは氷山の一角。水面下では大きな負のエネルギーがたまり続けています。

なぜ歪みの自覚症状がないのか

私の目に映る彼らの体は「このままではイヤだ、歪みを解消してもっと楽に動けるようにしてほしい」と訴えかけてきました。

短い時間でしたが、それぞれ少し手を入れさせていただきました。

ご自分の体の変化はもちろん、施術によって変化していく同僚の体を目の当たりにして、彼らは驚いていました。

足をさするようにして体全体を揺らす施術で、私は「からだほわっと」と名付けています。それがまさしく「体を正しく揺らす」ことなので、やり方については今後の連載でしっかりと触れたいと思います。

それにしても、どうして体は歪んでいるにもかかわらず、SOSを出さなかったのでしょう。

答えから書くと、体は悪いなりにその形を維持しようと頑張ってくれるからです。

人間はいくつもの関節が連なってできています。歪みが生じたとしても、別のどこかで調整し、何とか全体としての機能を発揮できるようにします。

極端に言うと、背中の曲がってしまったお年寄りに、無理に背筋を真っ直ぐにさせようとしても、それは無理なことです。丸まったままの状態でも、体を使えるように調整してしまっているのです。

歪みが歪みを生み、どこから手を付けていいのやらと、考えなければならなくなってしまったような体であっても、全体として何とか機能できるよう、体は懸命に頑張ってくれています。

しかし頑張るにも限度があり、体を道具のように使い続けていると、いつか必ず限界が来て、取り返しのつかない状況を生むことになります。

この連載を通じて、改めて自分の体と向き合っていただければと思います。

※本連載は毎週月曜日と木曜日に掲載予定です。