(ブルームバーグ): 楽天グループは7日、保有する楽天銀行の総額606億円の普通株式を海外市場で売り出すと発表した。これを受けて両社の株価は下落している。

発表資料によると、売り出し株数は2455万株で価格は1株2470円。ディスカウント率は約9.8%となる。楽天Gによる楽天銀株保有比率は現在の6割超から5割を下回る水準に低下する。米ゴールドマン・サックス・グループが買い入れ、海外投資家に販売する。受け渡し日は11日。

売り出し価格に関する発表を受けて7日の東京市場での取引で楽天銀株は一時、約1カ月ぶりの日中下落率となる前日比9.5%安の2477円まで売られた。楽天G株も同2.1%安の573円を付けた。

SBI証券の森行眞司アナリストは楽天G株の下落について、国内株式市場が軟調で推移する中、「モバイル事業が厳しく追い込まれて優良資産を売ったと捉えた投資家の反応の表れだろう」と分析した上で、「ボタンの掛け違いだ。実際はモバイル事業は改善傾向にあり、計画通り粛々と資金繰りは改善している」と述べた。

楽天Gの広報担当者は取材に対し、ゴールドマンが全株式を買い取って海外市場に引き受け販売すると述べた。調達資金は社債の早期返済に充当し、楽天銀は売り出し後も引き続き子会社となる。財務へ与える具体的な影響については、判明次第速やかに開示するとしている。

     引き受け主幹事はゴールドマン、みずほフィナンシャルグループ(FG)、大和証券グループ本社が務める。

携帯電話事業の不振などで楽天Gは前期(2022年12月期)決算で過去最大の赤字を計上し、自己資本比率も大幅に低下。新規株式公開(IPO)などでの資金調達を利用した財務体質の改善を進めている。

11月には7-9月期(第3四半期)の業績を発表、コスト削減や契約者の増加によりモバイル事業の赤字が812億円に縮小した。前年同期は1176億円の赤字だった。また、みずほFGによる楽天証券への出資も発表した。

楽天Gの三木谷浩史社長は決算の説明会で、24年から2年間に予定されている8000億円超の社債償還に向けて「さまざまな形で銀行の協力、コミットメントをいただいている」と述べ、「全く問題ない」と自信を示していた。

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(売り出し価格に関する発表や株価情報を追加して更新します)

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