利上げ局面、終了模索か=指標にらみ慎重に判断―米FRB
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「FRBが重視する個人消費支出(PCE)物価指数は10月、前年同月比3.0%上昇した。上昇率は昨年6月(7.1%)のピークから大きく下がり、2021年3月以来2年7カ月ぶりの低水準を記録」とありますが、インフレ抑制はラストワンマイルが難しく、油断すれば再燃します。引き締めと緩和のストップ・アンド・ゴーを繰り返してインフレ心理の高止まりを招いて大変なことになった1960年代終わりから1980年代初めにかけての米国がそれでした。
金融緩和が有利に働く市場が利下げ期待を高めるのは当然ですが、人々の消費行動の変化を織り込んだPCEが3%上昇というのはまだまだ高すぎる水準です。景気に幾許かの陰りの兆しが見え利下げ余地が十分できたFRBも出来ればこのあたりで利上げは打ち止めにしたいところでしょう。しかし、それを前面に出して市場が反応し過ぎたら大変です。「警戒論も根強い」というのもむべなるかな。それほど難しい局面ということかも。もはや、市場の関心は、最後の利上げをするか否かよりも、来年いつ利下げを開始するかに移って来ています。
パウエル議長がスペルマン大学での講演で「緩和についてspeculateするのは時期尚早」と述べ、市場の早期利下げ観測の暴走に釘を刺したことが注目されます。
13日のFOMC直後に公表される2024年末のFFレート見通しが前回の4.5~4.75%から引き上げられるかどうかがポイントになってきます。NY連銀公表のグローバルサプライチェーンプレッシャーインデックス(GSCPI)はコロナ前よりも物流が円滑であることを示しており、インフレ鎮静化の継続が期待されます。労働市場をみても平均時給、雇用コスト指数、アトランタ連銀の賃金トラッカーなどにおいて伸びが鈍化しています。一方、求人件数は9月にかけて955万人まで再び増加しました。賃上げを求めるストも多方面で繰り広げられています。総じてみて、利上げ打ち止めから様子見フェーズに入る確度は高いと考えられますが、積極的な利下げ期待とはまだ距離をとるべき時間帯とみます。