異次元緩和導入で市場機能が急低下、YCCでマイナス幅が最大=日銀特別調査
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債券市場サーベイは、私が日銀におりました時に、市場参加者の多大なるご協力を得て開始致しました。長期債市場への中銀の介入が本質的に市場参加者にご負担をおかけするものである中、市場との対話のツールを拡充しないとオペレーションの継続が難しくなっていくだろうとの思いでした。
同時に、「市場機能の低下」は、「非伝統緩和」の副作用として各国で指摘されているもののあくまで一部であり、資源配分の非効率化や財政規律、政策の機動性・弾力性への制約や期待形成への影響など、検証すべき点は多岐にわたると思います。これらについてバランスの取れた検証が行われ、将来のマクロ政策の運営にとって有益なレビューが行われていくことを願っております。
注目のコメント
量的融緩和もマイナス金利政策も通常の金融政策が使えない環境下で編み出された無理のある手段で、中でも、経済の体温計とされる長期金利を中央銀行がコントロールするYCCは、中央銀行による株式購入と並んで禁じ手とされるものでした。長期金利のコントロールに日銀と並んで手を染めたオーストラリア中銀は手痛い目にあって早々に撤退し、先進国の中央銀行で株式購入だのYCCだやっているのは我が日銀のみにとどまります。
株式(ETF)購入まで含む異次元の量的質的金融緩和もYCCも市場機能を歪めて行う政策ですから、低金利下で迷惑を蒙った市場関係者を主体に調査すれば「市場機能度DIが、量的・質的金融緩和導入を境に急低下し、イールドカーブ・コントロール(YCC)導入でマイナス幅が最大になった」との結論が出るのは当然で、調査するまでも無く日銀は分かっていたんじゃないのかな・・・
とはいえ圧倒的な少数派であるリフレ論者が大きな声をあげて主導権を握って異次元緩和を推進し、政治家も世論もそれに同調した結果、我が国には“緩和を縮小して金利を上げれば直ちに問題が表面化する、いまのまま続ければ緩和の出口で起きる問題が益々大きくなる”というジレンマが生まれています。異次元緩和を見直して問題が表面化すれば日銀が非難の矢面に立たされるのは必定で、見直すには第三者の目によるなんらかの評価が要るのでしょう、たぶん。YCCが最も効率的に市場機能を毀損したとの結論が出たわけですが、さて、日銀はこの調査結果をどのように使うのか・・・ (・・;