【深層】MicrosoftとOpenAIを繋ぐ「巨大研究所」の正体
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この記事で取り上げられているマイクロソフト研究所。たくさん友人がいますし、中で活躍する日本人研究者も多分ほとんど存じ上げています。自分の人脈の多さをここで自慢したいのではありません。それだけマイクロソフトが学生のインターンを受け入れたり、研究者同士の共同研究や交流の機会を多く提供したりしてくれてきたことをお伝えしたいです。マイクロソフトとの交流を通じて知り合ったマイクロソフト以外の研究者も多数います。他の企業にはなかなかない文化だと感じます。
この記事にない情報をしては2015年に発表された画像認識AIのResNetも当時MSRAにいたHe氏らによって実現された技術です。ある報告で人間の画像認識誤差率は約5%とされ、それが大目標とされてきましたがResNetは初めてその数字を下回って、ある意味で「人間よりも高い画像認識性能」を達成しました。画像認識系のAI技術者であれば必ずお世話になったことのある技術でもあります。MSRはAI研究において長年ずっと世界のトップクラスでした。だから、GPTを素早く実用化できたのでしょうね。
中国にMSRができたとき、残念な想いを感じました。なぜ日本ではないのかと。でも、今となればその判断が正しかったと分かります。OpenAIのサム・アルトマンCEO解任騒動から1週間が経ちました。騒動収束に大きく貢献したとみられているのが、2019年から資本提携関係にあるマイクロソフトのサティア・ナデラCEO。一度はアルトマン氏らをMSに招聘するとの発表もあったほど、強いリーダーシップで巨大企業を率いています。
マイクロソフトとOpenAIの関係を考える上で重要な存在が、研究機関「マイクロソフト・リサーチ」です。ChatGPTを動かすAIモデル「GPT-4」をマイクロソフト製品に入れるための研究開発は、この研究者集団が担いました。
一方で自前のAIモデルは生み出せなかったという事実もあります。そしてナデラ氏がそれに不満だとの報道も。1000人以上を抱える巨大研究所のトップがこのほど来日。OpenAI騒動前の11月中旬に、研究所の正体を探るべく話を聞きました。