[台北 20日 ロイター] - 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の電気自動車(EV)部門、 鴻華先進科技が20日、台湾市場に上場し、公開価格を一時9%下回る軟調な滑り出しとなった。EV業界の事業環境を巡る懸念を反映した。

終値は2.7%安で、時価総額は約27億ドルとなった。今回のIPO(新規株式公開)で75億台湾ドル(2億3500万ドル)を調達した。

インフレや高金利など自動車価格の押し上げ要因に加え、EVメーカーにとってはサプライチェーン(供給網)の目詰まりや米EV大手テスラの値下げによる値引き圧力も逆風となっている。

メガ・インターナショナル証券のアナリストは「EV市場はテスラのような大手による値引きで赤字の海が広がっている」と指摘。鴻華先進は2021年、22年に損失を出しており、今後2年で黒字に転じる見込みはないとした。

鴻華先進と鴻海の経営トップ、劉揚偉・董事長は成長のための明確な戦略があると強調。 鴻華先進は台湾で基盤を築き、独自の設計やサービス、さらには鴻海の実績あるビジネスモデルを生かして北米や東南アジアの主要市場に参入するとした。