(ブルームバーグ): 対話型人工知能(AI)「ChatGPT(チャットGPT)」を開発した米オープンAIに出資している主要投資家らは同社の取締役会に対し、サム・アルトマン氏を突如解任した決定を撤回して同氏を最高経営責任者(CEO)に復職させるよう圧力をかけている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

オープンAIに100億ドル(約1兆5000億円)余り出資している筆頭株主のマイクロソフトは、スライブ・グローバルやタイガー・グローバル・マネジメントを含む一部の投資家と共に、アルトマン氏の復職に向け取り組んでいる。情報の部外秘を理由に同関係者が匿名を条件に語った。

アルトマン氏復帰を求める努力の一環として、投資家らは取締役会の入れ替えも迫っているという。取締役らは辞任を検討してきたが、現在のところそのような要求に応じていないという。状況は流動的で、最終的な計画は固まっていない。現取締役が辞任した場合の後任候補リストを投資家らは検討している。候補者の一人は、セールスフォース元共同CEOのブレット・テイラー氏だという。

アルトマン氏解任の決定でオープンAIの取締役会は厳しい批判を浴びている。解任は投資家とアルトマン氏の意表を突くものだった。

同氏はオープンAIを非営利団体から商業的に成功するビジネスへと転換させようと数年前から取り組んできた。宿題からコーディングまであらゆるタスクの処理方法を大きく変化させる手段の導入を推進してきた。突然の解任は、これまでオープンAIを支援してきた企業の反発を招いている。

従業員株式の公開買い付けを主導すると予想されていたスライブは、アルトマン氏が会社を去れば、そうした行動に影響するとオープンAIに明確に伝えてきた。マイクロソフトに次ぐオープンAI株主であるスライブは、アルトマン氏および抗議のため17日に社長を辞任したグレッグ・ブロックマン氏の復職に取り組んでいる。

関係者の一部によると、アルトマン氏は復帰に前向きだが、その場合は会社の統治方法の変更を求める見込みだという。

マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、アルトマン氏と連絡を取っており、同氏が次にどのようなステップを踏もうとサポートすると約束した。事情に詳しい関係者によると、取締役会の決定にナデラ氏も不意打ちを食らった。

オープンAIとマイクロソフトの担当者はコメントを控えた。スライブとタイガー・グローバルもコメントを避けた。テイラー氏はコメントの要請に返答しなかった。

アルトマン氏解任後、共同創業者ブロックマン氏を含む何人かが抗議のため辞任し、この動きはなお続く公算が大きいと関係者は指摘した。

オープンAIは、アルトマン氏やブロックマン氏、退職したその他の主要な従業員を呼び戻すことができると楽観していると、ジ・インフォメーションがジェイソン・クォン最高戦略責任者の18日夜のスタッフ宛てメモを引用して報じた。クォン氏は、同社幹部が19日の午前半ばまでにスタッフに最新情報を伝えることができる見込みだとしている。

復帰しない場合のシナリオとしては、アルトマン氏は新たなベンチャーの立ち上げを検討しており、オープンAIの元スタッフが参加する可能性がある。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

アルトマン氏を復帰させようとする動きの一部内容については、フォーブスとバージが先に報じていた。

オープンAIのブラッド・ライトキャップ最高執行責任者(COO)は18日のスタッフ宛てメモで、アルトマン氏の解任は、不正行為や会社の財務、安全性の慣行に関連して行われたものではないと指摘した。ブルームバーグがメモの内容を確認した。

ライトキャップ氏は、決定には「われわれ全員が驚かされた」とし、理由を知ろうと取締役会と話していると説明。「これはサムと取締役会との間の意思疎通の断絶だ」とし、マイクロソフトは投資家として「引き続き完全にコミットしている」と付け加えた。

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原題:OpenAI Board Urged by Microsoft, Investors to Restore Altman (1)(抜粋)

--取材協力:Rachel Metz、Hema Parmar、Katie Roof、Sridhar Natarajan、Sarah Frier.

(最高戦略責任者のメモを引用した報道を追加して更新します)

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