2023/11/19

【土井善晴】おいしいものを生みだす、シンプルな条件とは

NewsPicks編集部
「一汁一菜」を家庭料理のネオスタンダードとして提唱し、食事づくりにストレスを感じていた人々から圧倒的な支持を得る、料理研究家の土井善晴さん
土井さんは「料理とは人間らしさを磨き、成長を促す行為。だからこそ失ってはならないもの」だと言う。
「今週の1冊」後編では、前編に引き続き、料理によって育まれる身体能力=感性の正体をひもといていこう。
INDEX
  • 料理は「完成」させなくていい
  • レシピに頼ると「責任」がなくなる
  • おいしさは「関係性」から生まれる
  • 「感性」は一生ものの宝

料理は「完成」させなくていい

──土井先生は、厳密な「レシピ」にこだわらないことで知られています。料理番組でも、調味料の分量などについて「自分が好きなだけ入れればええんですよ」とおっしゃる横で、アシスタントが慌て気味に「お塩小さじ1が入ります」などとフォローするシーンがおなじみですよね。
土井 そうなんですか? それは知りませんでした。
計量は料理じゃないですね。ですから計量は楽しくないし、楽しくないことは面倒に感じるのだと思います。