(ブルームバーグ): 英国では若年労働者の欠勤が増加している。従業員ウェルネスコンサルタントのグッドシェイプによると、2019-22年にかけて、21-25歳の従業員1人当たりの欠勤日数は、全体よりも速いペースで増加。20代前半の欠勤日数は年間約8日となり、新型コロナウイルス流行前の50代前半の日数に近づいている。

グッドシェイプのアラン・ベイカー最高経営責任者(CEO)は「若年層は比較的健康で、年配の世代は病気になりがちだというのがこれまでの定説だった。これに反し、Z世代(1990年代後半-2012年ころまでに生まれた世代)は欠勤日数で上の世代との差を縮めている。その大部分はメンタルヘルスの問題だ」と話した。

確かに、30歳以上の労働者の欠勤日数は依然としてZ世代より多い。30代、40代、50代の従業員の年間欠勤日数は9-12日で、コロナ以前に比べ増えている。

しかし、今日の若手労働者は、独特の厳しい状況に置かれている。コロナ流行期に学生時代を過ごした後、景気低迷、家賃高騰、金利急上昇に直面した。

英国で労働力人口から事実上ドロップアウトしたZ世代の数は既に、19年の水準に比べ急上昇している。ベイカー氏によれば、定期的な欠勤は、この年齢層でいわゆる無業者がさらに増加する可能性を示す最初の兆候かもしれない。

第2の問題は生産性だ。ワークマネジメント用ソフトウエア開発のアサナの調査によると、英国のZ世代はX世代(60年代半ば-80年代初めごろまでに生まれた世代)よりも、仕事を締め切り時間内にこなせない割合が高い。Z世代の労働者は残業が多いと同時に、不必要な業務に費やす時間が多いという。

これらの調査結果の一部は、仕事を始めたばかりという現実に起因している。BCGのニック・サウス氏は「われわれは皆、社会人になった時に学ぶことにかなりの時間を要し、非効率なまま時間を浪費した。続けていくうちに、いつ集中し、どこで業務を省けるかが分かってくる」と話した。

サウス氏によれば、優れたマネジメントも関わりがあり、ハイブリッド環境ではなおさら重要だという。不明瞭な期待と業務改善に必要なフィードバックの欠如が、労働時間を長引かせ成果を下げるという悪循環をもたらす。それがストレスとなり、燃え尽き症候群につながり得る。グッドシェイプの調べによると、60%の労働者が離職に至るまでにメンタルヘルス関連の欠勤を2回経験している。

若い労働者にとって学習の機会は重要だが、コロナ禍が同僚と一緒にいることで得られる多くの経験を奪ってしまった。

「新入社員の効果的な受け入れという課題は、10年前とは根本的に異なっている。明確な目標、思いやり、コーチング、フィードバックに焦点を当てた、特別な種類のリーダーシップが必要だ」とサウス氏は述べた。

Z世代を非難しても助けにならない。「予防的な声かけにしても、ただやるのでは駄目だ。どうすればZ世代に響くかを考えなければならない。Z世代とそれより上の世代とでは、デジタルに対する反応が全く異なるからだ」とベイカー氏は説明した。

同氏のアドバイスは、Z世代と同じやり方でコミュニケーションをとってみることだ。例えば、欠勤を記録できるアプリの導入だ。頭痛やストレスなどの理由で欠勤した回数が表示されることで、従業員は繰り返し起こる問題を理解できるようになる。その問題を解決する方法を説明するビデオによるフォローアップも有用だろう。

 

原題:Gen Z Staff Is Calling in Sick and Missing Deadlines: Work Shift(抜粋)

 

 

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