2023/11/17

【決算出そろい】円安の効果はどこに消えたのか

大酒 丈典

NewsPicks 副編集長

日本の上場企業の2023年7月～9月決算がほぼ出そろった。

経常利益は前年の同じ時期に比べて15％増えた。

円安の追い風もあり、株式市場の予想を上回る好決算が連発。先行きも好調な業績が続きそうだ。

1ドル＝75円台を付け「超円高」と言われた10年余り前と比べると、隔世の感がある。

しかし、民放のニュース番組では相変わらず街頭インタビューで「景気が良くなった実感はない。むしろ物価上昇で生活が苦しい」と庶民が話す映像が流れている。

結局、10年余り続いている円安は、日本経済にとってプラスなのだろうか、それともマイナスなのだろうか。

特集1日目では、1ドル＝150円という「新常態」について、何が起こっているのかをアニメーションで解説。

【視覚で理解】今こそ「円安リテラシー」を高めよう

NewsPicks編集部

2023年11月13日

2日目以降は「為替ニュースの見方」「円安時代の資産運用」「円安で盛り返すインバウンドの真相」についてレポートした。

特集最終日となる5日目は「円安はプラスかマイナスか？」。このざっくりした疑問について考えてみる。

INDEX

• 上方修正は下方修正の2倍
• 1円の円安で利益1935億円
• 円安の恩恵はどこに行く
• 忘れられたサラリーマン

コメント

注目のコメント

• 清水 勝彦

  慶應ビジネススクール 教授

  ・2023年11月17日

  「一度賃金を上げてしまうと下げられないという企業の恐怖心」は、次の成長のために必死で頑張るという経営のモチベーションにはならないもんなんでしょうか。そんなにびくびくしている人たちに経営者の資格があるとはとても思われないのですが。
• 永濱 利廣

  第一生命経済研究所 首席エコノミスト

  ・2023年11月17日

  決算や税収だけ見ればそうでしょう。
  ただマクロ的に重要なのは、そこで上振れた所得をいかに円安で割を食っている人々に還元や再分配できるかでしょう。
• 佐藤 元則

  NCB Lab. 代表

  ・2023年11月17日

  これまで貯めこんだ利益を労働者に還元しよう、という流れがようやく出てきました。最低賃金制度やパート収入に対する税制の改革など、少しずつ改善されてはいます。
  
  が、消費者の多くが好業績の恩恵を受けられていません。
  
  多くの労働力を支えている中小企業は、下請けになるほど価格圧力が高まり、最終的に従業員の給与にキャップがかかってしまっています。この問題を解決しなければ、多くの国民が円安の恩恵を受けられているとは感じないでしょう。