スパコン計算速度 中国消滅 富岳は世界4位 米国トップ3独占
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富岳が何に利用されているか分からないという方も多いと思うので、一例を挙げておきます。
皆さんの記憶に新しい富岳の実績は、コロナの飛沫感染シミュレーションではないでしょうか。「2m離れて会話しましょう」などのコロナ禍の行動規範の礎になったシミュレーションです。
この飛沫感染シミュレーションは簡単なように見えますが、流体力学をベースにした非常に計算量が多いシミュレーションです。さらに2次元ではなく3次元なので計算量はより一層のものになります。私の専門分野である航空宇宙工学においても流体の3次元シミュレーションは難題とされており、富岳のようなスパコンに期待が寄せられています。
以下もう少し詳しく述べます。
流体力学にはナビエストークス方程式と呼ばれる支配方程式がありますが未だ解析的に解くことが出来ないため、空間を無限小に区切って質量保存則などのいくつかの基本則から流れを予測する形を取ります。それぞれの微小空間において、隣接する微小空間の状態量を参照し、複数の基本則を解く。これを各時刻ごとに行うので、どれほど計算量が大きくなるか想像に容易いと思います。恐らくコロナの飛沫感染シミュレーションも似たような手法を用いていて、そのため富岳のようなスパコンが使用されたのだと思います。AMDが3割くらいになってたり、ARM系が見え始めたりと、技術的選択肢が増えてきているのを感じるランキング。
「中国消滅」と言っているがトップ10の話で、トップ500を見れば米国の32%に次ぐ21%で、依然として日本6%の3倍以上。3−5年前までは中国が45%程度で圧倒的1位だったので、いきなり計算力への投資を止めるわけもない以上、記事にある通りランキングが網羅的かどうか疑った方が良さそう。
親会社のLenovoがベンダー別で首位の34%を占めてたり、もう一つの親の富士通の富岳が引き続き世界トップクラスなので、個人的にも気になって毎回見てしまう。スパコンといえば物理シミュレーションです。分子動力学から地球気象予測まで多種多様。最適設計やAI開発もあり、使い道には本来困ることはありません。課題はその大規模計算で価値を出して収益を産みだせる人材の厚みでしょう。