(ブルームバーグ): 米電気自動車(EV)メーカー、テスラの株価は、ここ2週間足らずで2割近くの価値を失う勢いだ。EV需要が失速し始めているとの懸念が重しとなっている。

株売りのきかっけは、テスラが7-9月(第3四半期)決算の電話会見で、成長に対して従来よりも弱気な見方を示したことだ。その後、複数の自動車メーカー大手やウォール街のアナリストから暗い発言が続き、今週にはパナソニックホールディングス(HD)や半導体のオン・セミコンダクターも、EV業界に対して厳しい見方を示した。

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こうした警告は、全米自動車労組(UAW)と激しい労使交渉を繰り広げてきた米自動車メーカー全体の株価を総じて圧迫。それでも、テスラの下げは突出する。決算を発表した10月18日以降の下落率は約20%に達し、時価総額から約1450億ドル(約21兆9300億円)が吹き飛んだ。これに対し、同期間におけるS&P500種株価指数の下落率は3.6%、ナスダック100指数が4%余りだ。

モルガン・スタンレーのアナリスト、アダム・ジョナス氏は31日、業界全般の弱含みについて触れたリポートで「問題の核心は、コスト上昇、価格下落、金利上昇、需要鈍化の中で、証明されていないEV戦略に投資する資本集約的なセクターにある」と指摘。「投資家はここにきて、EVへの巨額投資は価値を高めるどころか、価値を破壊するかもしれないとの見方に目覚めつつあるようだ」と述べた。

高金利により車の所有コストが高騰しているため、自動車業界全体の見通しは悪化している。これに物価高が重なり、消費者が大型商品を購入する能力は低下している。EVはまだ比較的新しい技術であり、充電網も未整備なことから、この影響を真っ先に受けている。

原題:Tesla Erases $145 Billion in Valuation as Demand Woes Intensify(抜粋)

(第5段落を追加して更新します)

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