[北京 31日 ロイター] - 中国国家統計局が31日発表した10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.5と9月の50.2から低下し、景況拡大・悪化の分かれ目となる50を予想外に下回った。

景気回復の兆しを示していた最近の経済指標に影を落とした。市場予想は50.2だった。

10月の非製造業PMIは50.6と、前月の51.7から低下。サービス部門と建設部門が鈍化していることが浮き彫りになった。

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミスト、Xu Tianchen氏は「弱いPMIデータは、住宅市場の落ち込みとインフラ支出の鈍化に関連した需要低迷を一部反映している可能性がある」と指摘。「輸出に底入れの兆しが出ているが、外需の力強い回復は難しいだろう」と述べた。

新規の輸出受注と輸入注文は8カ月連続で縮小。製造部門が海外からの受注獲得に苦戦し、完成品の再輸出向けの部品発注を減らしたとみられる。

ハンセン銀行(中国)のチーフエコノミスト、Dan Wang氏は「PMIは前月比の指標だ。10月の低下は需要の大幅な変化ではなく、供給の調整を反映している」と指摘。「9月の生産は内需拡大で前月比で目に見えて改善したが、工業品の価格は下がった。10月は利益率低下に対処する取り組みが製造業で広がった」と述べた。

アナリストは今年の経済成長目標である5%前後を達成するには追加の政策支援が必要ではないかとの見方を示している。

政策当局者は6月以降に小幅利下げや流動性供給の拡大、積極的な財政出動など一連の景気刺激策を打ち出しているが、アナリストは「5%前後」という政府の成長率目標達成にはさらなる措置が必要とみている。

中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は先週、1兆元(1370億ドル)の新規国債発行を承認した。

人民銀行は今月に入り短期政策融資枠を通じて2020年終盤以降で最大となる資金支援を行い、銀行の信用供与と低金利の維持を可能にした。

中国経済は第3・四半期に予想を上回るペースで拡大し、9月の消費と産業活動も上振れした。

野村証券やJPモルガン、ムーディーズは第3・四半期統計が予想を上回ったことを受け、23年の成長率見通しを上方修正している。

ただ、長引く不動産市場の低迷が景気の足かせとなっており、世界経済の成長鈍化も当局にとって課題となっている。

エコノミスト・インテリジェンスのXu氏は「1兆元の国債増発は11月と12月の支援要因になる」と述べた。