(ブルームバーグ): コスモエネルギーホールディングスは24日、物言う株主として知られる村上世彰氏が関わる投資会社の南青山不動産らに対し買収防衛策を発動するかを諮るため臨時株主総会を開くと発表した。

コスモエネは、村上氏側による大規模買い付け行為は同社の企業価値や株主の共同利益を損なう恐れが判断されるとし、同日開催した取締役会で全員一致で臨時株主総会を開催することとしたと発表した。12月14日に開催を予定する株主総会で株主の賛成が得られ、村上氏側が追加の株式取得に着手した場合には、同社株を共同で約2割保有する村上氏の陣営に対して対抗措置を発動する。

コスモエネと村上氏は風力発電子会社の上場などを巡り対立している。村上氏側は7月、最大で400万株(約4.5%)の追加取得を行う意向を表明。コスモエネは、わずかな株主との協調行動で同社の特別決議事項に対して「実質的な拒否権を有する水準」になるとして懸念を示していた。

コスモエネは6月に開催した定時株主総会で、買収防衛策に関する議案を「マジョリティー・オブ・マイノリティー(MoM)」と呼ばれる異例の方式で決議した。MoMは利害関係のある大株主を除いて賛否を決めるやり方で、6月の総会では村上氏側を除く出席株主の過半数から賛同を得た。ただ賛成率は59.54%にとどまり、村上氏側は「実質的には否決であったと評価すべき」と主張する。

コスモエネは今回の発表で、臨時株主総会では対抗措置の発動についてはMoM決議ではなく、普通決議で株主の承認を求めるとした。また、村上氏側が同株主総会の前日までに2024年5月31日までコスモエネ株の買い増しや大規模買い付け行為などをしないとする誓約書を提出するなどした場合には、議案を取り下げるという。

村上氏側は7月に公表した大規模買い付けの趣旨説明書で、買収防衛策の発動が普通決議で可決された場合は追加取得を行わないと表明。その一方で、MoM決議で可決されたが、普通決議であれば否定されていたという場合には、防衛策発動を差し止める仮処分命令申し立てを行う予定としており、事態の決着までには長い時間がかかる可能性があった。

ジェフリーズ証券の五十嵐隼アナリストらは4日付のリポートで、村上氏側の自社株買いや再生可能エネルギー事業のスピンオフといった提案について長期保有株主の多くはコスモエネの長期的な企業価値を破壊するものだとみなしており、臨時株主総会は市場が期待する村上氏側の追加株式取得につながらないリスクがあるとした。

  • コスモ株に村上氏系投資会社による売却リスク-ジェフリーズ
  • コスモエネ総会、買収防衛策の議案を可決-シティIは無効と主張 (1)

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