米バイデン大統領 ガザ病院爆発「イスラエル以外の勢力」
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会談後の演説そのものは良い内容でしたが、イスラエルへの連帯が中心だったので、病院爆破でヨルダン入りが流れた分、このままでは「ネタニヤフに寄り添い」だけが成果。ヨルダン、エジプト、パレスチナ暫定自治政府との人道支援などの協議が急務。
TBSラジオ「セッション」でもお話しましたが、爆破の経緯は現状では分からないとしても、アメリカの3大ネットワークのイブニングニュースはここまで「イスラエルの911」だったのが、病院爆破で「ガザのパレスチナの人たちの911」に。イメージの情景(media spectacle)の激変。
ネット動画コンテンツがない時代だったですが、アメリカでの大学院時代に図書館の過去のニュースのアーカイブを連日見続けたのですが、それまでメディア側も「正義の戦争」だったアメリカのベトナム戦争の報道が68年のテト攻勢後に変わっていきます(2月のCBSのクロンカイトの特集番組あたりで急変)。バイデン大統領がイスラエルに何をしに行ったかというと、最大の目的は、これから始まるイスラエル軍のガザ地区に対する地上作戦を承認することですが、これは、宣言するかたちはとりませんでした。
しかし、バイデン大統領が直前に訪問した、ということ自体がお墨付きになります。
他には、詳細をイスラエルと詰める、ということがあり、その中でも、最大のものは、
・レバノンのヒズブッラー、シリア、イランにどう対処するか、イスラエル沖に集結した米海軍の3艦隊をそれにどう使うか
ということです。
あとは、
・ガザ地区への地上攻撃の後、そもそもガザ地区をどうするのか、誰が統治するのか
ということです。これについては、まだ決定する材料(たとえば、エジプトの出方)が確定していないため、合意には至っていません。
・ガザ地区への「人道支援」(食料、水、医薬品のみ供給)の決定もありますが、これは米国が人道面に配慮している、というポーズのためでもあり、エジプトとの今後の調整のためでもあります。
それから、当初の予定にはなかったことですが、
・ガザ地区の病院への攻撃は、イスラエル軍はやっていない
というお墨付きを米国大統領みずから出しました。
バイデン大統領の他に、ドイツのシュルツ首相や、英国のスナク首相もイスラエルを訪問しますが、やはり同様に、イスラエル支持の姿勢を明確に目に見えるように示すためです。
ただし、作戦の詳細に注文をつけて、承認を出すことができるのは、米国だけです。
イスラエル政府もイスラエル軍も、「長い戦争」が始まることを強調しています。ガザ地区だけを想定したものではないでしょう。
「長い戦争」は米国からの補給が不可欠で、米国だけがこれを支えてくれます。とんでもないスピードで国際情勢が変わっているなと実感します。学生時代、現代史の中東問題は教科書で単語だけ記憶していたような不出来な学生でしたが、大学院の授業でたまたま国際関係のクラスを受講し、因果関係で捉えると国際情勢・国際関係が立体的に見えてきました。他人事ではなく、今一度歴史を学ぶ意義を感じます。メディアは不安を煽りがちですが、みんなで知恵出し合って世界が平和な方向に進むことを願います。